――一方で、VAIOが抱える課題とはなんだと考えていますか。
まだ数字に対するコミットメントへの意識が薄いと感じました。企業が存続するためには、しっかりと儲けなくてはならない。その基本的な意識が低い部分があります。
また、商品づくりに対して、誰が意思決定して、誰が責任を負うのかということも明確ではなかった。商品を作っても売るのはソニーマーケティング。ソニーマーケティングは大変努力してくれているが、VAIO社内に営業部門を置いて、必死に売る体制ができていないため、どうしても最後の「売る」という場面で責任を負えない。売れないとソニーマーケティングが悪いんじゃないか、という話にさえなる。それではいけない。一気通貫して販売する体制とし、そこにビジネスリーダーを置いて、最後の数字の責任を負うようにしました。
VAIOというブランドは高い価値を持っているが、事業として成功したのかというと決してそうではない。ソニー時代のやり方を引きずっている。いままではソニーにいたから、好きな商品を作るだけ作って、最後の数字を気にしなくてよかったが、これからはそうはいかない。VAIOらしさということにこだわるあまり、市場性を忘れていたという部分もある。そのままでは儲からないということを社内に徹底し、最後まで責任を持つ組織を作り上げていく必要があると考えています。
いま、朝礼を週1回のペースでやっています。そこで、私は、何回も同じことを繰り返して、VAIOの3年後の姿を語っています。私は派手なメッセージがあまり好きではないので(笑)、じっくりと何度も同じことを繰り返して語ることにしています。
――今後のVAIOの方向性を聞かせてください。
成長の両輪は、PC事業と新規事業になります。先ほどお話したように、2017年度にPC事業と新規事業の収益を1対1にします。現在は5対2といったところですから、新規事業を大きく成長させることになります。2017年度には、PC事業の収益をブレイクイーブン(編注:損益分岐点)にまで持って行き、その一方で収益領域として、新規事業を位置づけるというのが基本的な考え方です。