――一方で、これまでの経験を振り返っても、IT業界は初めてですね。その点への不安はありませんか。

経営というのは、商品がなんであろうが、市場がどこであろうが、また、メーカーであろうが、商社であろうが、変わらないと思っています。企業が収益を追求するという点では、どんな業界でも変わりがありません。

そして、技術に精通していることがIT業界における経営者の資質ではありません。VAIOには、優れた技術者が数多くいますから、わからないところがあれば聞けばいい。それを聞いて納得したら、自分が責任をとって判断を下せばいいわけです。

これまでにも通信業界、化学業界、物流業界など、さまざまな業種を経験してきましたし、それによって、さまざまな視点で物事が考えられる。また、VAIOは新たな事業へも積極的に取り組んでいきたいと考えており、その際には、私の人脈がさまざまな業界に散らばっていることがメリットになるかもしれませんね。

――ちなみに、大田社長はVAIOを使ったことはあるのですか。

実はずっとVAIOユーザーなんですよ(笑)。1990年代後半から、ずっとVAIOを使い続けています。最初は、当時、中学生だった娘が「VAIOが欲しい」といったので買ったのが始まりだったのですが、次に自らゲームなどを開発してしまう上の息子も、自分もVAIOが欲しいと言い出して。その1年後には私も購入して、さらにかみさんもVAIOを使っています。家族ぐるみでVAIOユーザーなんですよ(笑)。いまは、家族で5台のVAIOを所有していますよ。

――VAIOの社長就任が決まったときのご家族の反応はどうでしたか(笑)。

家族はとても喜びましたね(笑)。でも、友人からは「それは大変だなぁ」と言われましたが(笑)。

"銀パソ"ブームが広がった1990年代後半からVAIOを使っているという大田社長