GeForce GTX TITAN搭載マシン

2月19日の発表に合わせて、PCメーカーからもGeForce GTX TITANを搭載した製品の発表が相次いだ。ドスパラの70万円マシンは一番極端なケースだろうが、フェイスも4モデルをリリースしている。同様にマウスコンピュータが発売したのが、同社のG-Tuneシリーズに属するNEXTGEAR-MICROシリーズである

記事にもあるとおり、199,500円というのは今回発表された一連のシリーズの中では最廉価のものである。とはいえ、20万近い製品だけに、しっかりしたものであった。ちなみに8GB Memoryを16GBに、1TB HDDを3TB+SSD 128GBに強化した上位モデルは\219,870からとなっている。

今回は、この上位モデルがまとめて届いた。評価そのものはSLIやCrossFire構成を行う関係で、このシステムをそのまま使うことは不可能なので、GeForce GTX TITANだけを抜き出して後述する環境での比較となったが、簡単にシステムの紹介をしたい。

筐体は、同社のNEXTGEAR-MICRO B75シリーズのもので、対応マザーボードはMicroATXまでとなっている(Photo29~31)。

Photo29:フロントのメッシュは上下ともに簡単に取り外しが可能。5inchベイにはDVD Multi Driveが。その下の3.5inchベイにはカードリーダーがセットされている。

Photo31:側面パネルは、メッシュ部に100mmφのファンを最大4つ取り付け可能。しかもまたファンを取り付けやすいように手前に盛り上がっている親切設計。とはいえ、そこまでの冷却能力は今回は不要だが。

Photo31:側面パネルは、メッシュ部に100mmφのファンを最大4つ取り付け可能。しかもまたファンを取り付けやすいように手前に盛り上がっている親切設計。とはいえ、そこまでの冷却能力は今回は不要だが。

内部はこんな感じで、フロントからの冷却風がダイレクトにGeForce GTX TITANにあたるようになっているので、冷却効果は高そうだ(Photo32)。

Photo32:ドライブベイが上下に分離している関係で、かなり長めのビデオカードも問題なく装着可能。実測では300mmくらいのカードまでは大丈夫そう。

ドライブベイそのものは、ケース下側に3.5inchシャドウベイ×2(Photo33)、ケース上側に5inch+3.5inchベイ、その下にSSDが装着可能である(Photo34)。フロントパネルにはUSB×3(うちUSB 3.0×1)とカードリーダー、電源とリセットスイッチ、LEDという、必要十分なものが用意されている(Photo35)。

Photo33:シャドウベイそのものはドライバレスで着脱が可能。ただ実際は電源部の配線がちょっと邪魔なので、まず電源を外してからということになる。搭載されていたのはSeagateの3TBだった。

Photo34:ケーブル類の配線は、すぐ脇からマザーボードの裏側に廻せるので、ケース内部はかなりすっきりしている。

Photo35:普通に使う分にはまず問題ないだろうという構成。リセットスイッチは誤押防止形状になっている。

特にこのケースで特徴的なのは冷却で、先にも述べたとおり側面はかなり大きなメッシュになっているほか、フロントには130mmφのファンがマザーボード(+拡張カード)冷却用に装備されるほか(Photo36)、これとは別にシャドウベイ冷却用の80mmφのファンが配される(Photo37)。

Photo33:吸い込んだ外気をそのままマザーボードやビデオカードに送り届けられるように、通気を邪魔するものは皆無。

Photo34:こちらはシャドウベイ冷却用。

これだけ吸気ファンが多いと、排気能力が心配になるところだが、Photo30にあった排気ファンとは別に、ケース上面にも130mmφのファンが搭載され、確実な排気を狙っている(Photo38)。前面と側面から外気を吸入し、背面と上面に排気を行うという典型的な構図であるが、これが確実に行われる仕組みになっている。

Photo38:100mmφファンにも対応できる構造だが、今回は130mmφのファンが搭載されていた。

ちなみにここまで吸排気口が多いと騒音も気になるところだが、稼動させた限りにおいては「普通」。3DMarkなどで高負荷を掛けているときは「ああ、GPUが激しく動いているな」と判る程度のレベルでしかなかった。

もっぱらここまでの話はケース周りに終始したが、これだけのシステムを22万弱で構築しようとすると結構大変である。何よりGeForce GTX TITANが全体の半分位の価格を占めているからで、従ってどうやって性能を確保しつつ価格を抑えるかが重要なポイントになる。

例えばマザーボードがB75(Photo39)というのは物足りないと思うユーザーも多いだろうが、GeForce GTX TITANでSLIとかをやる必要が無ければPCIe x16スロットは1本でいいし、Boot DriveをSSDにするのならIntel SRTを使う必要はないからZ77系でなくても性能面でのデメリットはない。

Photo39:搭載されているのがGIGABYTEのGA-B75M-D3V-JPというOEM向けモデルで、仕様的には同じGIGABYTEのGA-B75M-D2Vに近いが、SATAコネクタの位置やPS2コネクタ周りが異なっている。

あるいは電源も、700Wの80PLUS GOLDではあるものの、ブランド的にはマイナーなメーカーのもの(Photo40)を選ぶなど、性能と価格を頑張って両立させた事が見て取れる。騒音も、恐らく水冷キットを選ぶともう少しCPU高負荷時の騒音が減ると思うが、これはオプション扱いにしたのは賢明であろう。

Photo40:搭載されているのはFSP GroupのFSP700-80EGN。メーカーの資料によれば、典型的な効率は91.18%だそうである。

ところで、このNEXTGEAR-MICROの構成から、GeForce GTX TITANの価格を推察してみたい。同社のNEXTFEAR-MICRO im520PA9は、ほぼ同じ構成だがGeForce GTX 680を搭載、SSDなしでHDDは1TBで122,850円となっている(メモリは16GB)。これにSamsung 840 120GB SSDを追加し、HDDを3TBにすると141,120円という見積もりになっている。この金額と、GeForce GTX TITAN搭載の上位モデルの219,870円の差額の78,750円が、GeForce GTX 680とGeForce GTX TITANの差額、という事になる。

ではGeForce GTX 680が幾らか、というのが次の質問であるが、流石に同社はグラフィックスカードの単体売りはしていない。そこで市販価格をちょっとAmazonで調べてみると、例えば玄人志向の製品だと4万そこそこである(2/20調べ)。

NEXTGEAR-MICROシリーズが基本的に「性能を維持しつつ価格をなるべく安く」をモットーとするシリーズだから、恐らく同社が販売するGeForce GTX 680の価格も4万円台と考えて良いだろう。

ということは、大雑把に言ってGeForce GTX TITANの初値は12万ほどという事になる。本国でのリファレンスの価格が$999とあるが、流通経費やある程度のリスクを被る分などを考えると、この12万という推定金額は比較的妥当な線なのではないか、と筆者は考える。

テスト環境

 さてそれでは早速性能比較ということでベンチマーク環境をご紹介する。構成は表1の通り。新3DMarkを実施した時の構成そのままに、ビデオカードだけ複数種類を用意した格好だ。

■表1
CPU Intel Core i7-3960X
M/B ASUSTek P9X79
BIOS Version 3305
Memory DDR3-1600 CL9 2GB×4
Graphics NVIDIA GeForce Titan Reference Board NVIDIA GeForce 680 Reference Board MSI N680GTX Lightning ASUS HD7970-3GD5 SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5
Driver GeForce Driver 314.09 GeForce Driver 313.96β Catalyst 13.2β
HDD Intel SSD 520+HGST 500GB SATA 3G(NTFS)
OS Windows 8 Pro 64bit 日本語版

本来だったらGeForce GTX TITANの競合製品であるGeForce GTX 690を揃えたかったのだが、多分他のメディアも一斉に同じ事をしようとしたのだろう、残念ながら機材調達の目処が立たなかった。そんな訳で代替として、GeForce GTX 680×2のSLI構成との比較となっている。また、どうせSLIも試すのならば、Radeon HD 7970のCrossFire環境との比較も一緒に行ってみよう、ということで今回は5パターン(部分的に6パターン:後述)でのテストとなる。

 利用した機材であるが、まず手持ちのSAPPHIRE HD7970 3G GDDR5(GHz Editionではない、コアクロックが925MHzのもの)と、NVIDIAから借用したGeForce GTX 680のリファレンスカード(以前こちらで利用したものと同じ)に加え、まずASUSよりHD7970-3GD5を借用し、これとSAPPHIRE HD7970 3G GDDR5を組み合わせてCrossFire構成とした(Photo41,42)。

Photo41:構成はリファレンスのRadeon HD 7970と全く同じ。GHz Editionではない。重量は1012g(実測値)。

Photo42:ちなみに市場価格は、主力がMATRIX系に移行してしまって品薄なためか異様に高騰していて、例えばAmazon.co.jpだと60,980円(2/19調べ)。もっとも、同じRadeon HD 7970を積んだHD7970-DC2-3GD5は5万円を切っている(2/19調べ)ので、こちらの方が狙い目かもしれない。

一方GeForce GTX 680の方であるが、もう一枚はMSIよりN680GTX Lightningを借用し(Photo43~45)、リファレンスボードとSLI構成を取った。

Photo43:TwinFlost構成のN680GTX Lightning。大径ファンのおかげで、かなりビデオカードの背が高くなっている。ケースによっては収めるのが難しいかも。重量は1080g(実測値)で、リファレンスの811gと比較するとかなり重く感じる。

Photo44:電源は8pin×2構成に強化されている。ちなみに市場価格は、Amazon.co.jpだと61,255円といった値段(2/19調べ)になっている。もっとも、同じMSIのGeForce GTX 680でも、Twin Frozr III OCは5万を切っているから、こちらの方が狙い目かもしれない。

ただここで気になるのはN680GTX LightningがOverclock Model(GPUは定格1110MHz/Boost 1176MHz、Memoryは6008MHz)で、リファレンスボード(GPU定格1058MHz/Boost 1058MHz、Memoryは6008MHz)と速度が合わないことだが、リファレンスボードをPrimaryにしてSLIを構成すると同じ動作周波数になってくれるため、この環境で利用した。

Photo43:背面の出っ張りは、丁度GPUの真裏に位置するコンデンサ類を保護するためのものだろうか?

ちなみにAMD/NVIDIA共にβドライバなのは、テスト開始時点で3DMarkでApprovedされたものがどちらもβだけしか無かったからである。またTITAN用の314.09は、本来はUnified Driverとして他の製品用のものも統合する予定だったらしいが、間に合わなかったとかで今回はTITAN用のみの314.09とその他用の314.09が提供されており、TITANのみこれを利用している。

Photo46:SLI環境におけるPrimary(リファレンスボード側)の表示。GPU ClockはDefaultと同じく定格1006MHz/Boost 1059MHzになっている。

Photo47:こちらがSecondary(N680GTX Lightning側)。Default Clockは1202MHzだが、実際には1006MHzに落ちているのが判る。

ベンチマーク結果

それでは順にベンチマーク結果をご紹介したい。なお、グラフにおける表記は

  • HD 7970 : SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5のみの構成
  • HD 7970 CF : SAPPHIRE HD7970 3G GDDR5+ASUS HD7970-3GD5のCrossFire構成
  • GTX 680 : GeForce GTX 680リファレンスボードのみの構成
  • GTX 680 SLI : GeForce GTX 680リファレンスボード+MSI N680GTX LightningのSLI構成
  • GTX Titan : GeForce GTX TITANのみの構成

となっている。

今回から筆者のテスト環境改善(DELLの2560×1440pixelの27inchモニターを導入)にあわせて、解像度を1,280×720 / 1,600×900 / 1,920×1,080 / 2,560×1,440の4種類にした。もう液晶モニタそのもののアスペクト比が従来の4:3から16:9に完全に切り替わっているためである。一応Pixel数の比率で言えば1:1.5:2.25:4といったところになるので、負荷の掛け方としても手頃ではないかと思う。

また、特に断りがない限りテストは3回づつ行っており、特にゲームにおけるフレームレートの平均/最小/最大は3回を通しての平均/最小/最大フレームレートを示している。また実際フレームレートの変動に関しては(3回分を全部掲載すると大変なので)初回の結果のみを示している。

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