考察とまとめ

ということで、長々とGeForce GTX TITANの評価をさせて頂いた。なんか編集氏には「10P以内、グラフも出来れば2桁で」とか頼まれていた気がするのだが、きっと気のせいであろう。

さて、まず性能面。これはここまでグラフを見ていただいた通り、間違いなく単体ビデオカードとしては最速である。加えてGPGPU的な用途であってもDouble Precisionのハードウェアサポートにより、(API次第ではあるが)Radeon HD 7970を上回る性能を出すケースもあるから、文句のつけようがない。

性能の目安としては、GeForce GTX 680とGeForce GTX 680 SLIの丁度真ん中あたりというところか。大雑把に50%増し程度と考えておけば外れは無いだろう。実際、GPUの性能がシェーダ(NVIDIAで言うところのCUDAコア)の数×動作周波数で決まるとすれば、GeForce GTX 680とGeForce GTX TITANの性能比は

1536×1006:2688×837 ≒ 1:1.46

といった計算になり、これとグラフからの数値はほぼ一致する。厄介なのは、あくまでGPUの性能が50%増しという話で、フレームレートが50%増しとはならない事。

ボトルネックは色々考えられるが、今回明確になったのは、低解像度あるいは描画オプションがそれほど高負荷でないケースでは、Core i7-3960Xですらボトルネックになってしまうほど、GeForce GTX TITAN側にゆとりがあることだ。

要するにまだゲームとかGPUの操作はそれほどMulti-Thread化されていないから、Single Thread性能がまだまだ重要という話で、これがボトルネックになってフレームレートが思うように上がらないケースがままあることだ。

これはGeForce GTX TITANの責任ではないのだが、もしカードの購入を考慮しているのであればこちらの対策も考えたほうが良いだろう。

消費電力も、単体ビデオカードとしてはかなり高いところまできているが、SLIやCrossFire構成に比べればずっと大人しく、性能/消費電力比もそう悪くない。また冷却に伴う騒音も、Photo07にもあった通りかなり静粛な事も実際ベンチマークを掛けていて実感しており、こうした面では極めて優秀である。

んじゃ問題は何か? というと価格である。冒頭でNEXTGEAR-MICROの紹介をした時にも触れたが、GeForce GTX TITANの単体売り価格は恐らく12万前後だと思われる。長期的にはもう少し値段が下がってくるだろうが、これが10万を切るのはまだしばらく掛かるだろうし、9万を切るほどに下がるのは、恐らくこのGeForce GTX TITANの後継製品が出る頃だろう(というか、出るのかどうかも不明だし、下手をするとその頃には既に売ってない可能性もある)。

これも冒頭で触れたが、既にGeForce GTX 680は安いものだと4万円そこそこで入手できる。Radeon HD 7970も同様で、例えばMSIのR7970 Lightning BEだとAmazonco.jpで41,000円を切っている。つまりこれらのカードを2枚購入してSLIなりCrossFireを構成しても、8万そこそこでなんとかなる。

ピーク性能だけで言えば、この8万そこそこの構成の方が12万のGeForce GTX TITANより上、という価格差をどう考えるかである。あるいは今回は機材が間に合わずにテストできなかったが、GeForce GTX 690も恐らくGeForce GTX TITANよりもピーク性能は上であり、こちらも現状10万円未満で入手できる状況だから、やはりGeForce GTX TITANの価格面での難しさに変わりはない。

勿論Double Precisionのサポートとか、あとしばしばフレームレートの推移の中で出てきた、SLI/CrossFireに起因すると思われる妙なフレームレートのぶれ、あるいは低解像度におけるオーバーヘッドなどの問題に無縁というのはGeForce GTX TITANを選ぶ重要な理由ではあるが、その理由に4万円の価格差を支払えるかどうか。そこで「支払う!」と言えるユーザーには、GeForce GTX TITANは大変に良い製品であると思う。