KDDIは25日、2012年3月期の連結決算を発表。連結全体では増収増益で、11期連続で増益となった。1株当たりの配当金は16,000円で、前期比2,000円のプラス。13年3月期の業績見通しも増収増益を見込む。田中孝司社長は「auモメンタム(勢い)は完全回復した」とアピールした。

田中孝司社長

auモメンタムの完全回復

同期の連結業績は、営業利益が前期比4%増の3兆5,721億円、営業収益が同1.2%増の4,776億円、純利益は同6.5%減の2,386億円、EBITDAは同3%減の9,085億円。設備投資は同5%減の4,216億円だった。営業利益が4期ぶりに黒字となり、営業利益、経常利益は期初の見通しを上回る結果になった。税制改正にともなう150億円を除くと純利益は期初の見通し通りで、「業績は順調」(田中社長)だ。

主力の移動通信事業は、営業収益が同5.3%増の2兆7,270億円、営業利益は同4.5%減の4,192億円、経常利益は同3.8%減の4,134億円、純利益は同5.5%増の2,257億円で増収減益。固定通信事業は、営業収益が同2%増の9,155億円、営業利益が同122.7%増の534億円、経常利益が同388.4%増の383億円、純利益は同64.4%減の142億円で増収増益だった。

連結業績のハイライト

セグメント別の業績

かねてから田中社長が目指してきた「auモメンタムの回復」に関しては、解約率、MNP、純増シェア、データARPUの4つの指標が「劇的に改善した」との認識。田中社長は「完全回復した」とアピールする。解約率は前期の0.73%から0.66%に改善。過去最低水準まで低下したほか、第3四半期にはドコモを下回って業界最低水準に達し、「auに対する満足度が見て取れる」という。

auの解約率は順調に低下

MNPは昨年10月から6カ月連続で純増1位を確保。前期は36万2,000の流出超過だったところ、27万3,000の流入超過となり、63万4,000の改善。純増シェアは同10.1ポイント増の27.2%となり、第4四半期は33.4%と好調だった。

MNPも回復。MNP施策は今期も積極的に行う予定だという

各社の純増におけるシェアも上昇

データARPUも順調に増加し、第4四半期には同10.3%増となる240円増加の2,580円だった。通期では2,490円となり、同170円の増加。音声ARPUは2,020円となり、通期でデータが音声を上回る結果となった。ARPU全体では音声の600円マイナスが影響し、430円減となる4,510円だった。

好調なスマートフォンの販売台数は、同454万台増の563万台となり、携帯電話全体の41%がスマートフォンになったことで、同社の”スマートフォンシフト”が鮮明となった。スマートフォンの販売において、「iPhoneの貢献は非常に大きい」と田中社長。スマートフォン全体のうち、「週辺り、低いときで十数%、高いときで40%近くがiPhoneだった」という。

データAPRUも順調な伸びを示している

スマホの販売台数は大幅に増加

携帯の純増数は通期で211万増となり、累計で3,500万契約を突破し3,510万9,000契約となった。前期の113万増からほぼ倍増しており、田中社長は「auが好調だった08年3月期並みの純増」とアピールする。

純増数も一気に伸ばした