こちらの記事でThinkPad T420sの話題をお届けしたが、CES 2011のLenovoブースの注目展示を引き続きレポートしておきたい。ラインナップの顔ぶれがさらに充実したIdeaブランドの製品がかなりプッシュされていたほか、AndroidとWindowsを1台で使い分けられるモバイルノートや、今が旬のタブレット端末など、これまでに無く面白い製品を見ることができた。

昨年10月に、ThinkPadの累計台数が6,000万台を超えたというニュースがあったが、その記念すべき6,000万台めに生産されたというThinkPad Edgeの実機もブースに展示されていた

盛りだくさんのIdea製品

ところで、Ideaの製品は、ビジネス・ユーザー向けのThinkに対し、主にコンシューマ・ユーザーをターゲットとしたブランドであることはご存知のとおり。ブランドの登場からしばらくたって、シリーズも多彩になってきた。特にIdeaPadはシリーズ数が多いが、現地の製品担当スタッフに聞いた各シリーズの位置付けの解説が非常にわかりやすかったので、せっかくなので以下で紹介しておこう。

  • IdeaPad Y - IdeaPadのフラグシップライン。ThinkPadだとTシリーズに相当。
  • IdeaPad U - UltraThinを追求したモデル。ThinkPadだとXシリーズに相当。
  • IdeaPad V - 落ち着いたまじめなデザインで、実はビジネス利用も想定。ThinkPadだとLシリーズに相当。
  • IdeaPad Z - コンセプトはエンタテイメント性やファッション性で、最もスタイリッシュなIdeaPadを目指したモデル。
  • IdeaPad B - IdeaPadの中で最もベーシックなモデル。コストパフォーマンスも重視。
  • IdeaPad S - ネットブックのカテゴリに属すサブノート。

ということで、出展物のレポート。

「IdeaPad Y570d」が、"Sandy Bridge"こと第2世代のIntel Coreプロセッサを搭載し、さらにNVIDIAの3D Vision技術による3D立体視にも対応した15.6型ノートPCとして発表されていた。基本構成だと899ドル~という価格設定だが、Blu-Rayドライブ搭載などAVエンターテイメント性の高い構成まで組むことができる新モデルだ。Yシリーズではほか、3D立体視に対応しないY570や、液晶サイズの異なるY470、ハイスペック志向のY560p/Y460pなどが最新ラインナップとなる。

3D立体視対応の「IdeaPad Y570d」

3D Visionのメガネが付属する

スタイリッシュ・シリーズのIdeaPad Zシリーズは、液晶サイズ別だと15.6型の「IdeaPad Z570」、14型の「同Z470」、13.3型の「同Z370」が発表されていた。全モデルで第2世代のCoreプロセッサを搭載している。各サイズにそれぞれ多彩なカラー&デザイン・バリエーションが存在しており、バリエーションでは天板やパームレストの素材、メディアボタン類の仕組みまで変えてある程のコダワリが特徴。日本国内のコンシューマ市場向けの展開も近日中に予定されている。

ずらりと並んだZシリーズ。15.6型の「IdeaPad Z570」、14型の「同Z470」、13.3型の「同Z370」をラインナップ。15.6型のモデルのみ、キーボードにテンキーも備える

ポップからクールまで多彩なカラバリを揃え、さらに同系色の周辺機器まで用意するほど、デザイン性が特徴のシリーズとなっている

しかも単なる色違いでは無く、表面素材をソリッドなアルミだったりクリアプラスチックだったりと変えていたり、メディアボタンもカラバリによりタッチ式にしていたりと、かなりのコダワリが垣間見える

UltraThinがコンセプトの「IdeaPad U260」も今回が初公開となったモデル。12.5型サイズで、最薄部18mm、重量1.38kgと薄型・軽量が特徴だが、さらに注目なのは、ThinkPadとはまた違うイメージのソリッドなデザイン性だろうと感じた。革製の手触りの良い天板を採用しており、閉じた状態だと薄いだけでなく各面がフラットな、"ノートパソコンっぽくない"高級感のある文具の様な見た目になる。

UltraThinがコンセプトの「IdeaPad U260」

革素材の天板は高級感がある。パームレストも普通のプラスチックとはちょっと手触りの違う素材が使われていた

製品担当スタッフによると、IdeaPadは、ThinkPadの様にはブランドイメージがまだ固まっていないのだが、一方で、その分デザインの自由度が高いので、こういった新しいデザインにも積極的にチャレンジしているのだとか

「IdeaPad V570」。これも日本国内では未発売のモデル

Vシリーズは15.6型のV570のほか、14型の「V470」と13.3型の「V370」もラインナップ。全て第2世代のCoreプロセッサを搭載している

Vシリーズは、指紋センサーを備えているなど、IdeaPadでありながらビジネス用途もターゲットにしているそうだ。本体を置いたまま天板を指で持ち上げても、底面が浮き上がらないヒンジのバランス調整がThinkPadライク

ThinkPadブランドの初公開モデルも

いわゆる通常の"ThinkPad"の新ラインナップの発表は無かったが、同じThinkPadの名を冠するEdgeでは、新シリーズが発表されていた。それが「ThinkPad Edge+」と銘打たれたシリーズで、製品担当スタッフによれば、これは「Edgeのプレミアムクラス」となる新シリーズとのこと。14型の「ThinkPad Edge+ E420s」と12.5型の「同E220s」の2モデルが発表されていた。ThinkPad T410sや、X210sの様に、モデル名末尾に「s」が付いているが、その理由も同様で、通常のEdge E420/E220に比べて薄くなった本体が最大の特徴だ。

「ThinkPad Edge+ E420s」

「ThinkPad Edge+ E220s」

左がEdge+ E420で、右が通常の14型Edge。かなり薄くなっている

また、こちらの記事でも少し触れたが、AMDプラットフォーム採用で話題となった「ThinkPad X100e」の後継として、11.6型の「ThinkPad X120e」が発表されていた。今回もAMDプラットフォーム採用で、しかも最新の「Fusion APU」を搭載している。

11.6型ThinkPadの「ThinkPad X120e」

AMD Fusion APUの「AMD E350」を搭載してパワーアップした

Andoroid+Windows環境が一台に!?

今回の同社展示の中でも最大級の注目を集めていたのが、一見ただのモバイルノートに見える「IdeaPad U1 Hybrid」だ。モデル名にある、何が"ハイブリッド"なのかと言うと、1台でWindows 7とAndroid 2.3の環境を使うことができてしまうのだ。実はこのノート、先ほど「1台」と言ったが、実際には2台分のシステムがドッキングして、モバイルノートの形状になっている。

「IdeaPad U1 Hybrid」。写真の状態ではWindows 7が動いている

ノートPC形態の時には普通のWindowsノートとして利用できるのだが、ディスプレイ部分が分離して単独のAndroidタブレットとしても利用できてしまう。タブレット側のCPUはSnapdragonで、ちなみに分離したままだとバッテリ駆動は8~10時間ほどだという。中国市場向けには製品投入が決定しているそうだが、他のワールドワイド市場向けにはまだ何も決まっていないとされていた。

ヒンジ部分のスイッチを切り替えると、画面がAndroid環境へ移行

そのまま液晶ディスプレイ部分を切り離せば、Androidタブレットそのものになる

なお、単独のタブレット端末の出展もあった。10.1型の「IdeaPad Slate」で、CPUにIntel Atom、OSにWindows 7という、トラディショナルなPC構成のタブレットとなっている。指による静電方式タッチパネルのほか、ThinkPad Tabletの技術を活用した高感度な感圧式のタッチペン入力にも対応しているのが特徴だ。さらにキーボード環境を備えるドックまで用意されており、様々な用途にマルチ対応できるタブレット端末となっていた。

「IdeaPad Slate」。製品ではキーボード環境を備えるドックも同梱

パネルは指でもペンでも操作できる