SYSmark 2007 Preview Version 1.04
次はSYSMarkだ。冒頭で述べたとおり、最新はVersion 1.05になって64bit環境でも動作するようになったが、今回はまだ64bit未対応のものであり、したがってテストは32bit環境でのみ行っている。
さて、グラフ16はプレビュー編でも示したものだが、改めてみるとCore i7の性能の伸びの少なさが見て取れる。ただし、これはHyper-Threadingを無効にすることで改善される、というのも示した通り。
このHyper-Threading無効の場合のスコアはこんな感じ(グラフ17)となる。特に大きいのはVideo Creationのテストで、Core 2に対するビハインドがなくなったことだ。また、その他のテストについても少しずつ性能の伸びが見えており、「普通の使い方ならHyper-ThreadingをDisableにするほうが高速」というのが筆者の見解である。
逆に言えば、SYSMarkに代表されるような使い方であれば、Core i7は要らないとも言える。Core i7-965/Core 2 QX9770はどちらもExtreme向けで10万円コースだから論外として、Core 2 Q9650なら3万ちょい、何ならその下のQ9550とかでもいいだろう(Q9550s、という選択肢もあるがこっちはちょいと高価なのが難点ではある)。Q9650でもCore i7-920よりは高速であり、Core i7-940にやや及ばない程度。Core i7-920が3万弱、Core i7-940が5万円台であることを考えれば、この程度のアプリケーションでCore i7を使うメリットは見出しにくい。
更にメリットを見出しにくいのがグラフ18のSSDである。今回利用したSSDはX25-M Mainstream SATA SSDの80GB品で、最近はやっと4万円ほどで入手できるようになった。とはいえ、たった80GBである。実際今回の場合、全部のテストを一度にインストールしたら、空き容量が足りなくなるほどでしかなかった(仕方が無いので、幾つかのファイルは別のHDDに退避させて、入れ替えながらテストを行った)。その一方、1GBのHDDが8千円を切っているわけで、コスト/容量比は話にならないほど悪い。これで性能が良ければ……ということだが、グラフ18をみれば判るとおり激しく悪化している。それも、どれか特定のテストが……というわけではなく、満遍なくひどい結果である。
ここからは筆者の想像だが、PCMarkとか、SYSMark以降の様々なテストは概ねコンポーネントベンチ、あるいはそれに近い状態でのテストである。だから、割とSSDの性能がフルに生かしやすい(とはいえグラフ10でみたように、性能はピーキーではあるが)。ところがSYSMarkの場合、アプリケーションを人間が使う状況をシミュレーションしており、アプリケーションのみならずOSも普通と同じように動く。この状態では、いわゆる「プチフリーズ」が起こりやすくなっても不思議ではない。SYSMarkの場合、普通に見れば人が1~2日かけてやるような作業量を1時間少々で済ませてしまうテストであり、テスト毎に数回の「プチフリーズ」が起きても不思議ではない。で、SYSMarkを含む殆どのテストは、処理を行ってから制御が返ってくるまでの時間を測定してスコアを出しているわけで、プチフリーズが起きるとその分の時間がそのまま加算されることになる。
もう一つあるとすれば、Readのみ/Writeのみには強くても、Read/Writeが混在すると遅くなるというSSDの弱点だろう。PCMarkなどは比較的単調(殆どがRead Accessだ)だから性能の問題は出にくいが、SYSMarkではレンダリングの書き込みをしながら裏でアプリケーションが動いたりするから、当然煩雑にRead/Writeがオーバーラップして発生する。こうしたケースでは性能が落ちるのは致し方ないとも言える。
SYSMarkではもう一つ、メモリ帯域の比較をグラフ19に示す。こちらでは、比較的メモリ使用量の多いVideoCreationでこそ差が多少ついたが、速度が遅くなる筈の1333MHz×4が、より高速な1333MHz×3よりも性能が高いあたり、問題は帯域そのものではなくメモリ容量である、とも考えられる。一応今回は1GBモジュールだが、×1だとSystem Memoryは1GBになってしまうからぎりぎり。×2で普通といったところであり、帯域そのものよりもメモリ容量の方が支配的であることがここから見て取れる。