--現在の販売戦略はどのようなものでしょうか?

家電量販店などでの箱入りパッケージ販売と、大規模利用者向けにボリュームライセンス契約販売を行っており、現在はボリュームライセンス契約も徐々に増えてきつつあります。このほか、丸紅やソフトバンク、アップルといった代理店を通しての販売なども行っていきます。

--Webアプリケーションの表現力は凄まじい速度で向上していますが、今後FileMakerではインスタントWeb機能のほかにアプリケーション自身のWeb化を計画しているのでしょうか?

データベースソフトウェアを手がけている会社として、Webアプリケーションやオンデマンドの状況はもちろん存じていますが、ここでは現在のFileMakerというプロダクトでそれを追求するか、他のプロダクトとして追及するかを申し上げることはできません。デスクトップアプリケーションを必要としているワークグループ、Webアプリケーションを必要としているワークグループとがありますが、両者共にメリットとデメリットがある以上、私自身はこれからもデスクトップアプリケーションとWebアプリケーションは共存していくと考えています。

現在、インスタントWebとFileMaker API for PHPを利用したPHP公開機能を利用すれば、FileMakerソリューションをWebアプリケーションという形で実現できます。これからWebアプリケーションがどのように発展していくかはわかりませんが、そのための検討と対応は行っていくつもりです。

--Microsoft AccessとFileMakerを比較した場合、FileMakerは名称だけをだけ知っているという方が多いようですが……

Windows市場においては、やはりMicrosoftが支配的ですね。その中で、FileMakerは現在2番手といった状態です。しかし、AccessはMac OS上では展開されていないため、総合的なOSから見たデータベース市場ではFileMakerが1位でしょう(笑)。FileMakerは1993年(筆者注:1992年9月にリリースされたWindows上で動作する「FileMaker Pro 2.0」を指しているのではないかと思われる)から15年ほど経ちました。今のところユーザー数や知名度ではAccessに劣っていますが、この期間で培ってきた経験とそれをもとに進化を続けてきたインタフェースは決して負けてはいません。

私たちは、コンシューマー、事業部門単位、ワークグループといった各種の市場に対して、「データベースは何をすることができるか」「どういったメリットを発揮するのか」ということを示せます。一方Microsoftは、データベース市場に対し、Accessというデータベースソフトウェアからではなく、Microsoft Office全体からアプローチを行いました。私たちは、データベースはOracleやSQLといったエンタープライズの市場のみならず、個人単位や小さな事業部門向けでも活躍できることを知っているのです。

--御社のデータベース戦略におけるパーソナルデータベース「Bento」の役割とは?

「これまでデータベースを使っていなかった方たちにも、データベースを紹介したい」――つまり、Bentoというシンプルなツールを通じて新たなユーザーにデータベース、とりわけFileMakerを紹介したかったのです。私たちはMac OSという市場に対して1つのチャンスがあると考えました。というのも、Mac OSを利用しているユーザーは変わったことを試したがる方が多く、アップルの素晴らしいテクノロジーを活用できると思ったからです。Mac OS X LeopardのiCalやAddress Book、そしてFileMakerがMacユーザーに定着していたため、私たちはBentoをMac OS上で展開し成功を収めました。

ユーザーにはまず個人用途というくくりにおいて、データベースでできることをBentoで理解してもらい、その上でFileMakerを検討していただければよいと考えています。そのために、FileMaker Pro 10ではBentoのデータをインポートできるようにしました。私はよくWikipediaを使用しますが、その情報すべてをFileMakerに入れようとは思っていません。膨大の情報の中で自分にとって妥当性のあるもの、例えばプライベートな情報やWebには存在していない情報、プロジェクトのデータといった、"Webには置きたくないけれど自分自身のデータベースとして管理したいもの"を格納する際にFileMakerを使うのです。

私たちは何もかもをデータベース化できる、またはしようと考えているわけではありません。しかし、データベースを利用したほうが有益な領域はまだまだあると考えています。BentoやFileMakerをアピールすることで、データベースがさまざまな場面で生産性向上に役立つものだと知ってもらう。FileMakerは、いわばデータベースにおける第二の青春を実現する上で役立つソフトウェアなのです。

--次期バージョンの構想はどのようにお考えですか?

市場では、さまざまなテクノロジーやニーズが発展し続けていますが、私としては特に心配していません。すでに次期バージョンの開発には着手しているとともに、強力なアイデアを持ち合わせており、さらによいソフトウェアを作っていきたいと考えています。もっとも、みなさんがワクワクできるFileMaker Pro 10を導入しようとしているこの時に、次のバージョンについて語ることは控えさせていただきます(笑)。

                 ※※※

FileMaker Pro 10では、初めて利用するユーザーから何年も使いこんだパワーユーザーやデベロッパー向けまでさまざまな改良点が加えられている。その中でも特に「ダイナミックレポート」と「スクリプトトリガ」はすべての方に押さえていただきたい新機能だ。これらを利用することで、複雑なスクリプトコードやFileMakerに詳しくないとわからないようなレイアウトを組むことなく、誰でも直感的なインタフェースを簡単に組むことができるようになるのではなかろうか。

バージョン9以前からのFileMakerユーザー、デベロッパーは一新されたユーザーインタフェースに戸惑うかもしれない。しかし、使えば使うほどFileMaker Pro 10がいかにユーザーサイドからのフィードバックをもとに作成されたソフトウェアということがわかるだろう。

初めてデータベースを触るといったような初心者からパワーユーザーまで、簡単かつ柔軟なカスタマイズが行えるデータベースソフトウェアは、FileMakerのほかに類がない。さまざまなユーザーを包括しながら進化を続けてきたFileMaker。今後さらに複雑になっていくニーズや市場に対してどのようなアプローチを行っていくのか、その動向に注目したい。