■TMPGEnc4 XP 4.6.3.268 英語版
Pegasys Inc.
http://www.pegasys-inc.com/
おなじみTMPGEnc4 XPであるが、Version 4.6からCUDA 2.0に対応した事が大きな特徴である。今回利用した4.6.3.268はその最新版であるが、Release Noteを見ると"When used in a Core i7 environment, the determination of the number of CPUs would become invalid."なんていう記述がある。要するにCore i7環境でCPUの数の判断が間違っていたのを修正したということだが、以前Core i7で4.5.2.255を使った時には正しく判断されていることを考えると、「何をどう直したのか」がちょっと気になるところだ。というのは、今回Phenom系に関して動きがちょっと変だからだ。
エンコードの方法はCore i7の時と同じで、4本のWMV HDフォーマットの動画をMPEG-2 HDにトランスコードするのだが、それを4本同時/2本同時/1本づつの3パターンに分けて行うことで、トータルとしてのエンコード性能と、1本あたりのエンコード性能をそれぞれ比較するというものだ。
さて、グラフ28はトータルとしてのエンコード性能だ。×1の場合、全CPU(Core 2やPhenom系ならば4つ、Core i7ならば8つ)を1本のエンコードに投入するから、CPU能力をフルに使いにくい。これが×2とか×4だと、1本のエンコードに割り当てられるCPUの数が減る分、相対的に利用効率が上がるという仕組みだ。
結果を見るとまさしくそうした数字がそのまま出ており、これはこれで理解できる。×1の時に6~8fpsと低いのも、サポートする拡張命令がSSE3止まりのPhenom系とSSSE3やSSE4をサポートするCore 2/Core i7の違いを考えれば一応納得しやすいが、ちょっと低すぎる気がする。
グラフ28のおかしさは、グラフ29と比較するとわかり易い。こちらでみると、×1と×2で、殆ど性能が変わらない事が判る。要するに×1の場合に、本当に4つのCPUを使って1本のエンコードをしているようには見えないことだ。実際のCPU利用率がどうか、をPhoto14~16に示すが、なんとなく×1の場合にCPUを2つしか割り振っていない様に見える。実際、Core 2やCore i7ではグラフ29で×1→×2→×4でどんどん性能が下がっているのに、Phenomのみ×1→×2で差がない事のはちょっと不可思議である。
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Photo14: ×1の場合、平均34%となっているが、OSなどが使う分もあるので、本当にTMPGEncが4つのCPUにスレッドを割り振っているかどうかは疑問。グラフだけ見ると、2CPUしか割り振ってないんじゃないか、という気もする。 |
Photo15: ×2の場合。平均の負荷も50%を超えており、グラフの形も全CPUが利用されていることを示している。 |
以上を念頭に、専ら×4のスコアを使って判断すると、Phenom IIは確かにCore i7には遠く及ばないものの、なんとかCore 2の背中は見えてきたという程度に性能が伸びているのは間違いないと思う。またPhenomとPhenom IIの性能差も明確に出ており、このあたりも改善されたことがはっきり判る。