• COMPUTEX TAIPEI 2026で基調講演に登壇した、米Intelのリップブー・タン CEO。講演を通してIntel 18Aの成功と、さらなる拡大を強調。AIビジネスでは、パートナー企業とともに強固なエコシステムを築き、強みとする方針を説明

    COMPUTEX TAIPEI 2026で基調講演に登壇した、米Intelのリップブー・タン CEO。講演を通してIntel 18Aの成功と、さらなる拡大を強調。AIビジネスでは、パートナー企業とともに強固なエコシステムを築き、強みとする方針を説明

台湾・台北市で開催中のCOMPUTEX TAIPEI 2026で、米Intelのリップブー・タン(Lip-Bu Tan) CEOが基調講演を行い、同社の最新戦略を披露した。強調されたのは、革新的なAIの社会実装へ向け、チップレベルからシステムレベルにまで包括的にカバーするAIビジネスを、パートナー企業と協力して推し進めること。そして、その基盤となるIntel 18A技術ベースの半導体製品の拡大だ。

  • Intelとパートナーのエコシステムの強みは、チップレベルからシステムレベル、シリコンからソフトウェアまで、すべてをカバーできることという

    Intelとパートナーのエコシステムの強みは、チップレベルからシステムレベル、シリコンからソフトウェアまで、すべてをカバーできることという

タンCEOは、今日のAIのトレンドが、推論AIからエージェンティックAI、そしてフィジカルAIの領域へと進んでいることを紹介。それぞれのワークロードに対応したCPU、GPUといった半導体の重要性を説いた。そして同氏は、Intelの新CEOに就任してからの1年と数カ月を振り返り、「Intelの本質はエンジニアリングであり、それは私がCEOに就任した初日に改めて決意に刻んだことである」と話す。そのうえで、同社最新であり、世界最新鋭の半導体製造技術であるIntel 18Aプロセスがフルスケールで稼働をはじめていることをアピールする。

  • Core Ultra Series 3は市場投入から数カ月間という短い期間の中で、数多くのコンシューマ・法人PCが製品化されており、PC以外の産業用のエッジAIやロボット工学のコンピューティングでの採用も拡大しているなど、高い評価を得ているとのこと

    Core Ultra Series 3は市場投入から数カ月間という短い期間の中で、数多くのコンシューマ・法人PCが製品化されており、PC以外の産業用のエッジAIやロボット工学のコンピューティングでの採用も拡大しているなど、高い評価を得ているとのこと

そのIntel 18Aベースのチップとして、今年春の市場投入したCore Ultra Series 3に続く新たな18Aチップとして、携帯型ゲーミングPCに特化した「Intel Arc G3」と、データセンター向けの「Intel Xeon 6+」を発表した。

Intel 18Aのひろがり、Arc G3とXeon 6+を発表

Arc G3は、チップの物理的なレイアウトなどを見ると、Core Ultra Series 3をアレンジしたような製品だ。携帯型ゲーミングPC向けにチューニングしており、多くのAAAタイトルを1080p解像度で、120fpsを超えるフレームレートにて動作可能としている。競合製品(AMDのRyzen Z2を指すと見られる)比で40%以上高速なゲーム動作が可能で、同等性能あたりの消費電力は半分で済む、つまりバッテリー駆動時間がより長いという。搭載デバイスはCOMPUTEX会場でもパートナー各社が製品を出展しており、最初の製品群の発売時期は今月末からというアナウンスだ。

  • Arc G3はCore Ultra Series 3の上位モデル同等のGPUと、省電力コア中心のCPUで構成されている。チップのレイアウトが物理的に異なるので、単なるCore Ultra Series 3の選別品というわけではない

    Arc G3はCore Ultra Series 3の上位モデル同等のGPUと、省電力コア中心のCPUで構成されている。チップのレイアウトが物理的に異なるので、単なるCore Ultra Series 3の選別品というわけではない

  • Arc G3の主な仕様。GPUはPanther Lake(Core Ultra Series 3)のArc B390と同等規模で、CPUはEコア数に対しPコア数が少ない

    Arc G3の主な仕様。GPUはPanther Lake(Core Ultra Series 3)のArc B390と同等規模で、CPUはEコア数に対しPコア数が少ない

  • Arc G3のチップ。スライドのイメージではPanther Lakeと同じ画像が示されていたが、実物はダイの形状が物理的に異なっていた

    Arc G3のチップ。スライドのイメージではPanther Lakeと同じ画像が示されていたが、実物はダイの形状が物理的に異なっていた

  • 写っているチップは左がArc G3で、右がPanther Lake

    写っているチップは左がArc G3で、右がPanther Lake

  • COMPUTEX会場で見ることができたArc G3搭載のハンドヘルドPC

  • Arc G3はIntel 18Aの汎用性を示す一環としての意味も。プレミアムやメインストリームのPC、今回の携帯型ゲーミングPCと、そしてフィジカルAIを念頭に置いたエッジ。同様のIPと同じ機能で、幅広いエコシステムを築けるのがメリットという

    Arc G3はIntel 18Aの汎用性を示す一環としての意味も。プレミアムやメインストリームのPC、今回の携帯型ゲーミングPCと、そしてフィジカルAIを念頭に置いたエッジ。同様のIPと同じ機能で、幅広いエコシステムを築けるのがメリットという

  • Panther LakeはPCだけでなく、小型筐体のエッジのシステムでも採用。Intel 18Aの優位性について、言葉よりも、実際に多くの製品が実現していることが何よりの証明であると、多くのデザインウィンを提示している

    Panther LakeはPCだけでなく、小型筐体のエッジのシステムでも採用。Intel 18Aの優位性について、言葉よりも、実際に多くの製品が実現していることが何よりの証明であると、多くのデザインウィンを提示している

  • COMPUTEX会場で公開していたPanther Lakeのエッジ採用例。ここでは、ロボットアームの動作をまずは人間の操作でAIに学習させ、あとは自動で人間の作業を再現できるようにするというデモを試すことができた

Intel 18Aのもうひとつの新チップが、クラウド、エージェンティックAI、ネットワーク集約型ワークロードにおいて、より高いパフォーマンスと電力効率を実現するという、データセンター向けのXeon 6+だ。Clearwater Forestの開発コードネームで知られるこのXeon 6+は、最大で288基のEコア(省電力コア)を備える。データセンター向けでは初のIntel 18Aベースのチップでもある。

高密度のAIラックが構成できるという特長を挙げており、例えば単一の水冷ラックで、32Uのコンピューティングスペースを使用して、36,864コアを提供でき、ラック当たりの消費電力は約100キロワット。既存のXeon 6 6700EもEコア最大288基を誇るが、さらに効率化した今回のXeon 6+は、現在利用可能なインフラとして最高水準のエージェント密度を実現するしている。

  • Xeon 6+を発表。データセンター向けでは初のIntel 18Aベースのチップだ

    Xeon 6+を発表。データセンター向けでは初のIntel 18Aベースのチップだ

  • 単一ラックで、32Uのコンピューティングスペースを使用して、36,864コアを提供。消費電力は約100キロワット以下という

    単一ラックで、32Uのコンピューティングスペースを使用して、36,864コアを提供。消費電力は約100キロワット以下という

AIのニーズ変化が、CPUの重要度を押し上げている

データセンター向けチップについて、タンCEOは、エージェンティックAIが実用化へと進み、AI推論の処理へのニーズが高まっていることで、データセンター内でのGPUとCPUの力関係に変化が見られると指摘する。学習AIの段階では、少ないCPUに対し多くのGPUを搭載したラック、具体的には1つのCPUに対し4つのGPUといった比率が高効率であったが、一転して推論AIではCPU比率を増した方がコスト効率と電力効率で有利になることから、業界では1つのCPUに1つのGPUという比率への変化が起こっているという。

これを受け、今回の講演のステージにはSambaNova、Cisco、Foxconnの各社からのゲストが登壇。XeonベースのラックスケールAIインフラを推進する意向を表明した。

  • データセンターにおけるGPUとCPUの力関係に変化。推論をGPUで行うのは"力業"になるとも言われることがあり、CPUを組み合わせる効率の良さが評価されている。講演のステージでは実際にCPUで効率が上がるデモも披露

またタンCEOは、幅広いあらゆる業界でAI導入が進んでいることと、それぞれの業界におけるビジネス環境、プロセス、ワークフロー、顧客の違いにより、必要なコンピューティング要件も大きく異なることを踏まえ、Intelが専用設計のシリコンをベースとした業界特化型ソリューションの共同開発を目的とした、複数の戦略的パートナーシップを進めていることも発表した。今回発表のあった主なパートナーシップと各概要は以下の通り。

・Foxconn
ラックスケールAIインフラ向けのシステム統合機能を提供するとともに、設計サービスおよびカスタムシリコン開発における協業の可能性を模索する。

・Siemens
2023年に結んだ既存の協業関係を拡大。両社は設計から製造、そしてシーメンス製品に組み込まれるチップに至るまでのバリューチェーン全体において、協力を強化する。シーメンスは、チップの設計、製造、ライフサイクル管理に加え、ファブのデジタル化、自動化、電化に関する能力を提供する。両社の協業により、エッジデバイス、HPC、ロボティクスなど、シーメンスの多様なコンピューティング・ニーズに対応する、専用設計のIntel シリコンのユースケースを模索する。

・日立
ファウンドリツールや量子コンピューティングを含む幅広いソリューションで協業する意向だ。

・Echo Neurotechnologies
同社は神経科学およびブレイン・コンピュータ・インターフェース ソリューションを開発している企業だ。協業で、ニューロAI、音声神経科学、ブレイン・コンピュータ・インターフェース、そしてIntelの将来のニューロモーフィックおよび従来型ハードウェアアーキテクチャを発展させるための新たなニューロモーフィック技術を模索する。

・Greenstone Biosciences
同社はシリコンバレーでバイオテクノロジーを手掛けている。Intelプロセッサ、専用設計シリコン、および「Intel Health and Life Sciences AI Suite」を活用し、幹細胞、オルガノイド、ゲノミクス、AIを用いた人間中心の創薬開発を加速させる計画だ。

  • Intelが専用設計のシリコンをベースとした業界特化型ソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを発表

    Intelが専用設計のシリコンをベースとした業界特化型ソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを発表

  • 日立製作所からは、社長兼CEOの德永俊昭氏が協業を歓迎するビデオメッセージを寄せた

    日立製作所からは、社長兼CEOの德永俊昭氏が協業を歓迎するビデオメッセージを寄せた

講演の最後にタンCEOは、現在の業界には、PC、エッジ、エージェンティックAI、フィジカルAI、データセンター、これらを起点とした未来の未知のテック分野へと、計り知れないほどのビジネスのチャンスがひろがっているという認識を示す。

同氏は、Intelは過去の栄光にとらわれず、新たなIntelを築く目標へ邁進しているとし、Intel 18Aの量産体制が本格化した今年は、まさにIntelの変革の年になると述べる。エコシステムを支えるパートナー企業の重要性を再確認し、エコシステム全体を強化するパートナーシップを再構築し、「ハイパースピード」でビジネス創出を推し進めるという覚悟を語り、講演を締めくくった。

  • 講演では、インテル創業者の一人、ロバート・ノイス氏の言葉も引用。「過去にとらわれず、ワンダフルなことをしよう。」

    講演では、インテル創業者の一人、ロバート・ノイス氏の言葉も引用。「過去にとらわれず、ワンダフルなことをしよう。」