ハイエンドからローエンドまで対応

Imagination Technology(IMG)は11月19日から21日まで開催されていた「Embedded Technology 2008/組込み総合技術展(ET2008)」において、同社のグラフィックスIP「PowerVR SGX」ファミリ製品として、ミドルエンド機器向けIP「SGX531」およびハイエンド機器向けIP「SGX540/545」の設計を完了、ライセンスの提供を開始したことを明らかにした。

PowerVR SGXは同社の提供するPowerVRとしては第5世代のコアで、すでにローエンド機器向けIP「SGX520」およびミドルエンド機器向けIPとして「SGX530/535」が提供されており、SGX530/535はTexas Instruments(TI)の「OMAP3」やIntelの「Centrino Atom」のSCHなどに採用されている。

これによりPowerVR SGXのラインナップはローエンドの520からハイエンドの545まで6種類がラインナップされ、カスタマは用途に応じて自由に選択することができるようになった。

PowerVR SGXのロードマップ(今回の拡充によりローエンドからハイエンドまで対応が可能となった)

PowerVR SGXがどのようなアーキテクチャで構成されているかは「第11回 組込みシステム開発技術展」の際に聞いた通りなのだが、その時と比較すると、530/535をミドルエンド向けと位置づけしなおし、541の変わりに531を開発したことが窺える。

これらの主な違いはシェーダエンジン「Universal Scalable Shader Engine(USSE)」の本数の違いであることは変わりはない。また全ラインナップでOpenGL ES(OpenGL for Embedded Systems)2.xに対応していることも変わりはないが、530以上ではDirectX10.1への対応、540/545ではOpenGL 2.0および2008年8月に仕様が公開されたOpenGL 3.0に対応していることが明らかにされている。

PowerVR SGXの回路ブロック図

このほか、531では530の機能拡張版でメモリインタフェースのバス幅が64ビットから128ビットへと拡張され、より高い解像度に対応したとのことである。

なお、末尾がxx5のようになっているものに関しては「Windows Vista」に対応したIPとなっている。

HDに対応したビデオエンコード

加えて、次世代マルチスタンダードビデオエンコーダとして開発が進められてきた「PowerVR Video Encoder VXE251/280」のライセンス供給が開始されている。

251は従来提供されていた「VXE250」の機能拡張版でSDの解像度に対応する。一方のVXE280はHDの解像度に対応する。いずれもサポートするフォーマットは「H.264 BP(Baseline Profile)」「MPEG-4 SP(Simple Profile)」「H.263」「JPEG」となっている。H.264にはBPのほか、MP(Main Profile)、HP(High Profile)があるが、こちらの規格に対しては2009年の前半に開発完了を目指している次のファミリでの対応を予定しているという。

VXEシリーズのロードマップ

また、次世代デコーダとして開発が進められている「VXD380」については、「Advanced Audio Video Coding Standard in Information Technology(AVS)」へのサポートなどに変更はなく、2008年中に提供を開始したいとの考えを明らかにした。