対Googleについては「チャンスはまだある」

Microsoftがうまくやれなかったと感じている分野を聞かれて、Courtois氏は広告を挙げる。だが、広告市場をあきらめたわけではない。現在、Microsoftは、どうすれば関連性のある検索エンジンを構築できるのかをテーマに開発を進めているという。

この分野では、先日、欧州で検索に関する研究開発を立ち上げたほか、ノルウェーFast Search & Transfer、独Greenfield Online/Ciaoなどの買収がある。同時に、これまでのモデルを変えるようなビジネスモデルの研究も進めているという。「長いジャーニーになる。一歩ずつ進めていく」とCourtois氏。「チャンスはまだある」とCourtois氏は自信を見せる。

Courtois氏はここで、エンタープライズ市場の成功を挙げる。200億ドルビジネスに育ったエンタープライズ市場だが、「15年前には門前払いだった」とCourtois氏。「挑戦を続けた結果」とCourtois氏は言う。

検索/オンライン広告部分で一人勝ち状態にあるGoogleについては、「確かに(Googleは)オンライン検索分野で90%のシェアを占める。だが、われわれにはユーザー数4億人を超えるMSNという資産もある」。Microsoftはユーザーのアクティビティを注視しており、サービス戦略に役立てていく戦略だ。また、ディスプレイ広告ではもうすぐ2位になるとCourtois氏。さらに、「すでにある事業を統合、活用してシナジー効果を出していく」という戦略も示した。

挑戦が長いモバイル分野については、「大規模なエコシステムを構築した」とCourtois氏。ソフトウェア開発者、オペレータ、端末メーカーなどで構成されるものだ。ビジネスモデルは差別化になるとCourtois氏は語る。Appleのように端末からOSまですべてを自社で行う垂直型モデルがあるが、「業界の企業はソフトウェア企業との協業を望んでいる」とCourtois氏。そして、スウェーデンなど一部の国で発売が迫った英Sony Ericsson初の「Windows Mobile」搭載機「X1」などの例を挙げた。

Courtois氏は、Microsoftの成長戦略はオンライン広告だけではないことも強調、PC、エンタープライズ、オンライン、エンターテイメント、モバイルの5本の柱があるとした。

中国は3 - 4年後、世界最大のPC市場に

Microsoftは、中国やインドに大きな投資をしてきた。中国では社員6,000人が勤務しており、米国の次に大きな組織になっているという。今後、3、4年で中国のPC市場は世界最大になるといわれているが、中国とインドの拠点では、地元市場でのビジネス活動だけではなく、地元の人材にも期待しているという。中国では知的所有権、規制、チャネルなど特有の問題もあるが、成長計画にとって重要であり、地元のルールを尊重していくとCourtois氏は語る。

かつてはハングリーに米IBMに挑戦を挑んだMicrosoftだが、「会社の規模が大きくなるにつれてアジリティが劣ってきたのでは?」というVieux氏の問いに対し、Courtois氏は「規模は確かに大きくなった。だが、これは言い訳にはならない」と述べる。

アジリティのために、Microsoftはどんな取り組みを進めているのか? 積極的に若い精神を受け入れ、育てる取り組みがあるという。その一例としてCourtois氏は、学生に開発ツールを無料で提供するプロジェクト「DreamSpark」を挙げた。そして、2年前の組織再編から現在までの自社の評価を「B+」とした。