H-IIAロケットのウリは?

続いて開催された記者会見の第2部には、打上げ執行責任者の前村孝志・MHI技師長、打上げ安全監理責任者の河内山治朗・JAXA理事が出席。また相模原キャンパスから中継で、滝澤悦貞・SELENEプロジェクトマネージャも参加した。

前村孝志・MHI技師長(左)と河内山治朗・JAXA理事(右)

滝澤悦貞・SELENEプロマネは相模原キャンパスから中継で参加

従来の打上げでは、JAXA内に「打上げ実施責任者」という役職が置かれていたが、今回、打上げ体制の変更により、MHI側に「打上げ執行責任者」、JAXA側に「打上げ安全監理責任者」と権限が分かれた。打上げ執行責任者の前村氏は、今回の打上げ業務を統括する、MHI側の最高責任者である。前村氏からは「かぐや」の軌道要素の発表があり、「非常に良い精度で投入できた」と述べられた。

今回、打上げまで移管されたH-IIAロケットだが、世界の衛星打上げ市場に参入するにあたってウリとなるのは「信頼性」と前村氏。きちんと軌道に投入することはもちろん、スケジュール通りに上がることも衛星メーカーにとっては重要だ。前村氏は「技術的なトラブルは13号機では数えるほどしかなかった」と明かした上で、H-IIAロケットは「予定通りに上がる」とアピールした。

その後、滝澤プロマネは「かぐや」の現状を説明。会見前の段階で、「かぐや」からの信号を受信しており、すでに太陽の捕捉と太陽電池パドルの展開まで終わっていることを明らかにした。予定よりも早くシーケンスが進んでいるとのことで、これは衛星分離がきれいに行われたことを表しているという。

展開に成功した太陽電池パドル(提供: JAXA)

ハイゲインアンテナの展開もすでに実施(同)

ところで、プロマネが現地(種子島)で指揮を執らないのは異例と言えるが、「(月探査機は)静止衛星などに比べ、当日中にやらなければならないイベントが多い。それをしっかりやっていきたいと判断した」とのことで、追跡管制のために会見からも途中退席した(ちなみに今回打上げた「かぐや」の運用解析センターは相模原キャンパスに設置されている)。