前回まで、架空の宅配便会社「まいにち宅配便」が開発を進めている「配達予約システム」を題材に、UMLを用いてシステム要求をモデリングする方法について解説してきました。今回より、引き続き「配達予約システム」を例にとり、UMLを用いてシステムの仕様をモデリングする方法について説明します。

架空の宅配便会社「まいにち宅配便」では、配達予約システムの開発を進めています。同システムの中核を成すユースケースが、配達予約するユースケースです。このユースケースは、荷物の届け先に当たるユーザーが「まいにち宅配便」のWebサイトから宅配便の配達日付・時間帯を予約できるというものです。具体的には、届け先に届いたメールから、Webサイトのログイン画面、配達予定画面を経て、配達予約画面で配達予約し、配達予約結果画面が表示されるといった流れになります(図1)。

図1 「まいにち宅配便」の配達予約システムの画面の流れ

システムの仕様の中で特に重要なのが「データ」「状態」「ユースケース」の3点です。以下、「まいにち宅配便」配達予約システムを例に、この3つの仕様をモデリングする方法を解説します。

クラス図を用いたデータの仕様の定義

データの仕様はクラス図を用いて定義します。データ仕様の検討はビジネスモデリングから仕様化まで一貫して行う作業です。ただし、ビジネスモデリングと仕様化とでは、作業の目的、すでに得ている情報の種類や量が違います。そのため、ビジネスモデリングにおいて作成したクラス図を参考にしながら、仕様のレベルまで詳細化する必要性が生じます。このように、進行に応じて成果物を詳細化していくプロジェクトの進め方を「段階的詳細化」と言います。詳細化の具体的な内容については、次回説明します。

『出典:システム開発ジャーナル Vol.4(2008年5月発刊)
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