今週は、一部のスライドをスライドショーから除外する「非表示スライド」について紹介する。また、リンク先に「非表示スライド」を指定することで、状況に応じてスライドの表示/非表示を選択できるように工夫する方法も紹介する。スライドショーの自由度を高めるためにも、「非表示スライド」と「リンク」を組み合わせた使い方を覚えておくとよいだろう。

非表示スライドの指定

スライドショーを実行すると、1枚目のスライド(タイトル スライド)から順番に、2枚目、3枚目、4枚目……とスライドが画面全体に表示されていく。すでにPowerPointを利用している方にとって、これは当然の挙動といえる。

スライドショーの実行イメージ

このように、PowerPointのスライドショーは「最初のスライド」から「最後のスライド」に向かって直線的に動作するのが基本となる。とはいえ、状況に応じて表示するスライドを自由に選択できた方が便利な場合もある。

例えば、残り時間が足りなくなったため、一部のスライドをスキップして発表を続けたい場合などが、このケースに該当すると考えられる。そのほか、質疑応答用のスライドを用意したり、相手に合わせて表示するスライドを変化させたりできるようになると、それだけスライドショーの自由度は高くなる。

こういった場合に便利に活用できるのが、「非表示スライド」と「リンク」を組み合わせたテクニックとなる。まずは「非表示スライド」を指定する方法から紹介していこう。

作成したスライドのうち、一部のスライドだけをスライドショーから除外する場合は、「スライドショー」タブを選択し、「非表示スライドに設定」をクリックする。

非表示スライドに設定

すると、現在選択しているスライドが「非表示スライド」に設定され、そのスライド番号に斜線が引かれる。

非表示スライドであることを示すマーク

このように指定しておくと、「非表示スライド」を除外(スキップ)してスライドショーを実行することが可能となる。

6枚目のスライドを「非表示スライド」に指定した場合

以上で「非表示スライド」の設定は完了。もちろん、「非表示スライド」に指定できるスライドは1枚だけではない。同様の操作を繰り返すことで、2枚以上のスライドを「非表示スライド」に指定することも可能だ。

ただし、このままでは「非表示スライド」をスライドショーに表示できない。続いては、状況に応じてスライドの表示/非表示を選択できるようにする方法を紹介しておこう。

リンクを活用して非表示スライドを表示

前回の連載で「リンク」を指定する方法を紹介したが、この機能はリンク先に「非表示スライド」を指定した場合も有効に機能する。よって、「非表示スライド」をリンク先に指定しておくと、そのスライドの表示/非表示をその場で選択できるようになる。

念のため「リンク」を指定する時の操作手順をおさらいしておこう。まずは、リンクを指定する要素を選択し、「挿入」タブにある「ハイパーリンク」をクリックする。

要素を選択し、「ハイパーリンク」をクリック

続いて、リンク先に「このドキュメント内」を指定し、リンク先とするスライドを選択する。「非表示スライド」はスライド番号がカッコで囲まれて表示されるが、通常のスライドと同様にリンク先に指定することが可能だ。

リンク先に非表示スライドを指定

このようにリンクを指定しておくと、リンクをクリックした時だけ「非表示スライド」を表示できるようになる。以下に、その動作イメージを掲載しておくので参考にするとよいだろう。「赤色の矢印」は通常のクリック操作でスライド表示を切り替えた場合、「青色の矢印」はリンクをクリックした場合の動作を示している。

「寄り道スライド」のイメージ

つまり、普通にスライドショーを実行した時は「4枚目」→「5枚目」→「7枚目」→「8枚目」とスライドが表示されていき、5枚目のスライド内にあるリンクをクリックした時だけ「6枚目」のスライドに寄り道できる、という構成になる。

このようなスライド構成にしておくと、時間がないときは最短距離(通常のスライドショー)で発表内容を説明し、相手が興味を示したり、時間に余裕がありそうな時だけ補足説明のスライド(6枚目のスライド)を表示する、といった動作を実現することが可能となる。

さらに、「非表示スライド」に元のスライドへ戻るリンクを設置しておいてもよい。今回の例の場合、「6枚目」のスライドに「5枚目」へ戻るリンクを設置することになる。

元のスライドへ戻るリンクを作成

このようにリンクを指定すると、スライド構成は以下の図のようになり、「5枚目」と「6枚目」のスライドを自由に行き来できるようになる。

「寄り道スライド」のイメージ

「6枚目」のスライドを表示した後、元のスライドに戻りたい場合は「戻る」のリンクをクリックすればよい。元のスライドに戻る必要がない場合は、リンク以外の部分をクリックして「7枚目」のスライドへ進んでもよい。

もちろん、複数のリンクを設置して、より複雑なスライド構成に仕上げることも可能だ。リンクの指定方法を工夫することで自由にスライドを行き来できるようになるので、気になる方は試してみるとよいだろう。

この際の重要ポイントは、「非表示スライド」でリンク以外の部分をクリックすると「次のスライド」が表示される、という仕組みである。「戻る」のリンクを設置するなど、必要に応じて対策を施しておくとよいだろう。

非表示スライドの解除

最後に、指定した「非表示スライド」を解除する方法を紹介しておこう。この場合は、非表示に指定したスライドを選択し、「非表示スライド」コマンドを再クリックしてOFFにすればよい。

非表示スライドの解除

すると、スライド番号の斜線マークが消去され、選択中のスライドを「通常のスライド」に戻すことができる。もちろん、「非表示スライド」を解除しても各スライドの「リンク」はそのまま維持される。状況に応じてリンクの削除などを行っておく必要もあるだろう。念のため、覚えておくとよい。