人事評価システムや人事コンサルティングを手がけている「あしたのチーム」が、年功序列制の評価に関するインターネット調査を実施した。

「辞めてほしくない人材が辞めてしまった」全体で65.5%

会社の命ともいえる「人材」。しかし、大切に育て上げ見事な戦力となった社員が、ある日突然、退職願を出してきた―。そんな事が、現在では他人事ではなくなってきている。

調査によると、「あなたの会社で辞めてほしくない社員が辞めてしまったことはありますか?」という質問に対し、全体で65.5%の方が「辞めてほしくない人材が辞めてしまった経験がある」と回答した。

現代では、多様なメディアによりキャリアチェンジやキャリアアップなどは、プラスなイメージとして広まり、転職にあまり抵抗を持たない社会人が増えたのではないだろうか。とはいえ、会社側としては、優秀な社員たちが会社を離れてしまうダメージは大きい。辞めてほしくない優秀な社員たちが辞めてしまった理由とは何か。

なぜ人は会社を辞めるのか? 最も多かったのは「給与と頑張りの連動がないこと」

「辞めてほしくない社員(優秀な社員)が辞めてしまった理由・原因を教えて下さい(複数回答)」に対する回答

7割以上が引きとめた! ただし、説得できたのは3割程度。

「辞めてほしくない社員(優秀な社員)を引き留めた事はありますか(単数回答)」に対する回答

辞めていく社員を引き留める経験は約7割の経営者・マネジメント層が経験していることのようだ。

「説得はできましたか(単数回答)」に対する回答

また、その結果説得ができたかという質問では約3割のみが説得「できた」と回答している。7割以上が説得をしているという結果となったが、さらにそのうち7割が説得は「できなかった」という結果になり、辞めてほしくない社員の説得は難しいようだ。

従業員の定着率を良くするために重要なことは「評価」

人事の柱となる4つの業務である「採用」「教育」「評価」「労務」。この中で従業員の定着率を良くするために重要だと思うことに順位をつけていただいた結果、2位の「労務」に大きく差をつけて「評価」が1位となった。

しかし、中小企業やベンチャー企業では、まだまだ人事評価制度の導入や構築が進んでいないというのが実情だ。社員を正当に評価するシステムがしっかり運用されていれば、人材の流出を防ぐとともに、優秀な人材を獲得することも可能なのである。

調査の方法

WEBアンケート方式で実施。
従業員300名未満の会社で、経営者、人事評価をする立場であるマネージャー層の各200名、20歳~69歳を対象。
調査実施日:2014年12月24日(水)~2014年12月26日(金)

執筆者紹介

あしたのチーム 代表取締役社長 高橋恭介

1974年生まれ。大学卒業後、興銀リース株式会社にてリース営業と財務に2年ずつ従事した後、設立間もないプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として、数十名の企業から従業員数500名規模およびブライダルリングシェアNo.1まで拡大。人事にも深く携わり、年間数百名の採用面接を実施。
海外にも会社を立ち上げ、台湾子会社代表を歴任するなどベンチャー企業の成長を最前線で実感し、2008年にあしたのチームを設立。

書籍紹介

会社選びの新基準

著者 : 高橋恭介
発行 : 学研マーケティング 2015年4月7日

終身雇用・年功制という従来の日本型経営がほぼ破滅してしまったいま、社員一人ひとりの能力が真に問われていきます。そのような時代を迎えたいまこそ、売り手市場といえども、一回の選択ミスが人生を台無しにしてしまう可能性もあるのです。企業もまたシビアに選ばれる立場となりました。
人事評価はビジネスパーソンにとっては、自分を正当に評価してくれるシステムであり、経営者にとっては優秀な人材の流出を防ぎ、さらなる優秀な人材を採用できる、経営者もそこで働く従業員も幸せになれるシステムだと信じています。