人事評価システムや人事コンサルティングを手がけている「あしたのチーム」が、年功序列制の評価に関するインターネット調査を実施した。
年功制廃止に賛同する経営者は54.3%と半数以上
経営者に対し、「年功序列制度廃止」についてどのように感じるか聞いたところ、「良いと思う」、「まあ良いと思う」と回答した方が54.3%と半数以上を占める結果となった。一方、廃止に否定的な答えを選択した方は、全体のわずか10.8%にとどまった。
多くが年功制廃止に賛同するなか、実際に会社の人事評価はどうなっている?
「年功序列制度廃止」に賛成と回答した経営者に対し、実際に自社の人事制度や慣習は「年功序列」と「成果主義」のどちらが強く感じるかと聞いたところ、「年功序列の人事制度や慣習が強い」、「どちらかというと年功序列の人事制度や慣習が強い」と回答した方が合わせて40.8%におよんだ。
多くの経営者が年功序列制の廃止に賛同するなか、自分の会社ではいまだに年功序列制が浸透しているという。なぜそのような矛盾が生じているのか。
半数以上の経営者や人事が評価に悩んでいた!
経営者、人事担当者、マネージャー陣。評価を下す立場にある評価者たちは、評価をしていく上でどこに悩みや課題を持っているのか。調査した結果、悩みの一つとして、経営者・人事担当者が「評価と報酬との関連性が持てていない」(49.8%)というものが多く挙がった。
評価される側の社員たちは、今の人事評価をどう思っている?
経営者、人事担当者に対し、現在の制度を従業員が満足していると思うか聞いたところ、全体で54.8%と半数以上が「従業員は満足していると思う」と回答した。
一方、評価者側ではなく評価される側にある従業員を対象に、現在勤めている会社の人事評価に満足しているかを調査した結果は、「人事評価に満足していない」と答えた従業員がなんと71.6%にまで達した。
評価をする立場にある経営者・人事担当者と、評価される側の立場にある従業員との間には、想像していたよりも大きな違いがあることが判明したのだ。また、従業員を対象に聞いた「人事評価に関する満足できない理由」の1位も、「評価と報酬との関連性が持てていないため」という回答が、37.4%で1位となった。
全ての立場で人事制度を見直す必要があると回答
評価をする立場である評価者、経営者そして人事担当者に対して、現在の制度について見直す必要はあるか聞いたところ、経営者は51.0%、人事担当者は70.1%、評価者では77.5%と人事評価に携わる立場の方の半数以上が「必要がある」と回答した。
今の時代に合わなくなってきている「年功制」
前出の調査結果で、評価者のうち約半数が、人事評価と報酬の関連性がもてていないことが悩みのたねであると伝えた。また、評価をされる側(従業員)も、人事評価制度に満足できない理由として、同様の項目をトップに挙げている。かつて日本の高度経済成長を縁の下で支えてきたともいえる年功序列制度ではあるが、ここにきて人事評価制度の潮流は大きな転換期を迎えつつあるのではないだろうか。
「給与と頑張りの連動がある評価制度」の検討が必要になってきているといえる。
調査の方法
WEBアンケート方式で実施。
従業員300名未満の会社で、経営者の方400名を対象。
調査実施日:2014年2月26日(水)~2014年2月27日(木)
執筆者紹介
あしたのチーム 代表取締役社長 高橋恭介
1974年生まれ。大学卒業後、興銀リース株式会社にてリース営業と財務に2年ずつ従事した後、設立間もないプリモ・ジャパン株式会社に入社。副社長として、数十名の企業から従業員数500名規模およびブライダルリングシェアNo.1まで拡大。人事にも深く携わり、年間数百名の採用面接を実施。
海外にも会社を立ち上げ、台湾子会社代表を歴任するなどベンチャー企業の成長を最前線で実感し、2008年にあしたのチームを設立。
書籍紹介
会社選びの新基準
著者 : 高橋恭介
発行 : 学研マーケティング 2015年4月7日終身雇用・年功制という従来の日本型経営がほぼ破滅してしまったいま、社員一人ひとりの能力が真に問われていきます。そのような時代を迎えたいまこそ、売り手市場といえども、一回の選択ミスが人生を台無しにしてしまう可能性もあるのです。企業もまたシビアに選ばれる立場となりました。
人事評価はビジネスパーソンにとっては、自分を正当に評価してくれるシステムであり、経営者にとっては優秀な人材の流出を防ぎ、さらなる優秀な人材を採用できる、経営者もそこで働く従業員も幸せになれるシステムだと信じています。