社内の会議が多くてお客様に会う時間が取れない、仕事の生産性が上がらない、とお嘆きの方も多いと思います。一人で決めるのが怖いから、とりあえず会議に呼ばれるという状況もあります。また、目的が明確でないまま、とりあえず開催される会議もあるかと思います。今回は、会議を効率的に行うヒントを提示します。

会議時間を管理する

みなさんは、「パーキンソンの法則」ってご存知ですか?パーキンソンの法則とは、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが当時の行政組織を研究する中で、組織・運営と人間の心理作用に関する非合理的な行動の分析を説いた法則です。そのパーキンソンの法則は以下の2つの法則から成り立ちます。

第一法則:「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」
第二法則:「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」

筆者はギターが趣味なのですが、第二法則に従って、ギターの本数が膨張しています(苦笑)

会議の時間には第―法則が適応されます。1時間の会議には1時間フルに使ってしまうのです。ですから、会議の目的によって、1時間、30分、15分、5分と、こまめに管理するのです。

5分は短いと思われるかもしれませんが、実は5分間は結構長いです。エレベーターピッチを20回できますし、ほとんどの音楽の曲は聞き終えることができます。しっかり準備しておけば、効率的に5分を使えるのです。

リーダーシップの名書に『1分間リーダーシップ』『新1分間マネジャー』(ダイヤモンド社 著者:ケン・ブランチャードら)があります。この本を読むと、アジェンダさえしっかり設定すれば、1分間ですら長く感じます。

  • エンタープライズIT新潮流76-1

目的と参加者を明確にする

筆者が米国のWorkdayでSales Operations & Strategyとして働いていたときに経験したことがあります。Workdayはオペレーションがすごく優れた会社で、会議の実施方法も徹底していました。それは、会議の目的と参加者、およびその会議から生み出される結果を明確にすることです。

ミーティングの招待メールには、そのことを明記します。これによって、"とりあえず参加"してもらう人がいなくなります。この背景では権限移譲が進んでおり、権限を持つ人が意思決定をすることもあります。決定権がない人が集まっても、とりあえず呼んでおこうという人が増えるだけで、生産的な会議にはならないです。

昨今、議事録作成はAIで簡単にできるので、"とりあえず"の人には生成された議事録を送っておけば済みます。

さらにWorkdayでは、Next Actionをとても大事にしていました。Next Actionを会議の終わりで明確にして、次回までに進捗させると業務が進化していきます。

2007年ごろにはCisco Systemsで働いていたのですが、どのような会議でも自社のWeb会議システムである「WebEx」を入れていて驚きました。AIでの議事録作成や、録画による情報共有を容易にするため、対面の会議でもWeb会議システムを使えばいいのです。

定例会議に賞味期限を設ける

多くの組織を苦しめているのが、以前からやっているからという理由だけで続く定例会議です。これにはサンセット・ルールを導入することをお勧めします。いつ日没にするか(=定例会議を終了するか)をあらかじめルールとして決めておくのです。

例えば、「すべての定例会議は3カ月ごとに見直し、継続の必要性を再定義する」といったルールです。定例会議の設定時に、そのルールを適応させればいいのです。

目的が達成されたプロジェクトや、報告がAI・チャットツールに置き換わった会議は、そこで勇気を持って廃止します。会議を増やすのは簡単ですが、減らすには仕組みが必要です。やるやらないことをはっきりさせることが戦略の第一歩ですからね。

全員参加の義務を捨てる

会議効率化の究極のヒントは、出ないという選択肢を認めることです。イーロン・マスクはテスラの従業員に対して、「自分が貢献できていない、あるいは価値を得られていないと感じた会議からは、すぐに立ち去るか、参加を断るように」と伝えています。

これは失礼なことではなく、むしろ相手の時間を無駄にすることこそが失礼である・無駄であるという考え方です。いいですね。

Microsoft時代に、報告だけの定例会議があったので、無駄だと判断して参加しませんでした。無断だったので、上司には嫌われました。ですから、出ない選択肢があることが認められることが大事です。

会議に明確な役割がなければ、思い切って欠席し、後ほどAIが作成した議事録を確認する。これだけで、自分のスケジュールをより高い価値を生む業務のために確保する自由が生まれます。

立って会議をする

アジャイル開発などでよく取り入れられる手法ですが、立って会議をすることも効果的です。人間は座り心地の良い椅子に座ると、無意識にリラックスしてしまい、話が横道に逸れたり、議論が長引いたりしがちです。

立ち会議にすることで適度な緊張感が生まれ、全員が早く結論を出して実務に戻ろうという心理になります。これは15分以内の短時間会議に極めて有効です。

最期に、会議はコストだという認識が大事です。会議に10名いれば、給与を時間換算した10名分のコストがかかっています。その中に役員が混じっていれば、すごいコストになります。

会議を減らし効率化することは、単なる時短術ではありません。私たちが本来向き合うべきお客様や創造的な仕事に充てるための大切な資源を取り戻すプロセスです。

「とりあえず集まる」文化から「仕組みによって価値を生むために集まる」文化へと、一歩を踏み出してみませんか。