世界中にセンセーションを巻き起こしているChatGPT。登場から1年近く経った今でもその熱狂はとどまるところを知りません。ChatGPTを追いかけるように、名だたるビッグテックも次々と生成AIを発表しており、まさに空前のAIブームが到来したと言えるでしょう。

一方で、「ChatGPTとは一体何なのか」という問いに答えられる人は案外少ないのではないでしょうか。おそらく「質問すると的確な答えをくれるAI」くらいの認識を持っている人がほとんどでしょう。

実際のところ、ChatGPTとはなんなのでしょうか。どんなところが革新的で、今後の世界をどう変え得るのでしょうか。本連載では全5回にわたり、長く自然言語処理に関するAI開発に携わってきた筆者がChatGPTについて解説を行います。ITに詳しくなくても、これを読むだけでChatGPTについてある程度、語れるようになるはずです。

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ChatGPTと従来のAIとの違い

ChatGPTは、米国のIT企業であるOpenAI社が2022年11月に公開した対話型のAIです。ユーザーがチャット欄に文章を入力すると、その文章を踏まえた上で何らかの回答を返します。いわゆる「チャットボット」の一種と考えてください。

この「ユーザーが書き込む文章」は質問でなくても構いません。あいさつでも、世間話でも、独り言でもOKです。どんな文章であっても、ChatGPTは回答してくれます。

しかし、この「対話できる」という部分がChatGPTの特徴ではありません。ChatGPT以前から対話型のAIはたくさんありましたし、なかには雑談(のようなこと)ができるAIも存在しました。

では、ChatGPTはそうした従来の対話型AIと比べて何がすごいのでしょうか。

ChatGPTの革新的なポイントは次の3つです。

①回答の生成精度が非常に高い

これは、従来の対話型AIを使ったことがある人ならすぐに感じることだと思います。ユーザーが入力した文章に対してChatGPTが返してくる回答の内容は非常に自然であり、一見しただけでは文章としておかしな部分がほとんど見当たりません。

これまでの対話型AIはどうしても文章が不自然になってしまったり、ユーザーの質問に対してとんちんかんな回答をしたりすることが避けられませんでした。ChatGPTもそうした不自然さがゼロではありませんが、従来のAIに比べれば極めて少なく、その精度はずば抜けています。従来の対話型AIとのやりとりに「人らしさ」を感じることは難しかったのですが、ChatGPTはまるで人と話しているかのような空気感すら感じられることがあります。会話の質という点で、ChatGPTはあらゆるAIを過去のものにしたと言えるでしょう。

②1つの機械学習モデル(AI)であらゆるタスクを処理できる

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