OpenAIは11月5日、データセンター(同社の呼称は「コンピュート・キャンパス」)を建設する地域社会に向けた「National Community Compact」と、政策提言「Compute Campus Policy Blueprint」を公表した。立地する地域に計画への発言権を与え、電力コストなどの負担が住民に及ばないようにするとともに、AIの経済的な恩恵を広く共有することが狙いだ。
電力・水・雇用、データセンター立地で3つの約束
Compactは、OpenAIが今後所有・運営するすべてのデータセンターに適用される。地域ごとに個別のCompactを策定し、計画に住民の意見が反映されるよう早い段階から対話する。地元の連絡窓口を設け、取り組み状況を毎年公表する。
共通の約束は大きく3つに整理されている。1つ目は、電力と必要なインフラの費用の全額負担だ。計画が遅延、縮小、中止された場合に備え、大規模な支出の前に財務面の保証も提供する。
2つ目は、地域資源の保護と情報開示で、キャンパスごとの水利用計画や、水と電力の使用量、騒音調査の公表を挙げる。公職者にはNDA(秘密保持契約)を求めず、保護はセキュリティ情報や営業秘密などに限る。
3つ目は、地元の労働者や企業への機会づくりで、雇用見込みの公表と、採用や見習い制度の実績の年次報告を行う。
具体例として、ジョージア州エフィンガム郡では、住民の意見を反映して480万ドルの助成金を設け、郡内の児童生徒1万4000人全員に無料の給食を提供する。オハイオ州パイク郡では、住民が優先課題に挙げた保育のため、OpenAIとSB Energyが共同で600万ドルの拠出を約束した。
電力コストや税優遇、政策側にもルール整備を提言
一方のBlueprintは、企業の自主的な取り組みは出発点にすぎないとして、連邦、州、地方の政策担当者にルール整備を求める。
州の公益事業委員会には、大口電力需要家に自らが系統に与えるコストの負担を求めること、プロジェクトが頓挫した際に他の顧客を保護することを提言した。電力会社には、電力が逼迫した際に安全に需要を削減できるキャンパスの接続を容易にするよう求める。
計画中のジョージア州エフィンガム郡のキャンパスでは、Georgia Powerとの契約により、同社が高需要期にOpenAIへの供給を最大1000MW(メガワット)削減できる。連邦議会には、送電設備の増強の迅速化と、クリーン電力の税優遇の復活・拡充を求めた。
州や地方政府が税優遇を与える場合は、条件を公開したうえで、測定可能な約束を盛り込み、開発事業者が果たせなければ優遇分を回収できる仕組みを設けるべきだとも提言している。