NTT、NTTドコモ(以下、ドコモ)、NTTデータグループの3社は11月4日、2026年度第2四半期の決算を発表した。

NTTの営業収益は前年同期比8.7%増の7兆3622億円となり、上期として過去最高を更新した。一方、営業利益は同12.2%減の8301億円、NTTに帰属する当期利益は同16.0%減の5002億円と、増収減益だった。

グループ会社のドコモは営業収益が同8.2%増の3兆2821億円、営業利益が同1.5%増の4821億円と対前年で増収増益を達成。金融を中心とするスマートライフ事業の拡大が寄与した。

NTTデータグループは売上高が同10.9%増の2兆6168億円、営業利益が同46.4%減の1442億円となった。ただし、前年同期にはデータセンター事業の譲渡益1295億円が含まれており、この影響を除くと46億円の増益となる。

NTTはドコモの業績を反映し、通期営業収益と営業利益の予想をそれぞれ200億円上方修正した。合わせて、通信品質改善に向けた設備投資計画も430億円増額している。

  • NTT 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 島田明氏

    NTT 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 島田明氏

NTTは営業収益が過去最高、データセンター譲渡益の反動で減益

増収減益となったNTTの各事業をセグメント別に見ると、ドコモを中心とする総合ICT事業は営業収益が前年同期比2494億円増の3兆2821億円、営業利益が同73億円増の4821億円となった。

金融を中心としたスマートライフ事業の拡大に加え、モバイル通信サービス収入の減少幅が縮小したことなどが寄与した。

グローバル・ソリューション事業は営業収益が同2563億円増の2兆6168億円となったものの、営業利益は同1248億円減の1442億円だった。前年同期に計上したデータセンター事業の譲渡益1295億円の反動が響いた。

その他事業(不動産・エネルギーなど)はNTTアーバンソリューションズにおける住宅事業の拡大やNTTアノードエナジーの電力販売増加により、増収減益。減益となった主な理由は、燃料価格高騰に伴う電力調達コスト増など。

  • NTT 2026年度第2四半期セグメント別の収益

    NTT 2026年度第2四半期セグメント別の収益

ドコモは金融・決済が成長、モバイル通信ARPUも上向き

ドコモの増収増益をけん引したのが、金融やマーケティングソリューション、エンターテインメントなどを展開するスマートライフ事業だ。同事業は全ての領域で増収増益を達成した。

スマートライフ事業の上期営業収益は前年同期比34%増の8372億円となった。金融領域の営業収益は前年同期の2222億円から3568億円に拡大。金融・決済取扱高も9兆3100億円となり、前年同期の8兆2700億円から増加した。

  • ドコモ スマートライフ事業の営業収益

    ドコモ スマートライフ事業の営業収益

モバイル通信事業でも改善が見られた。携帯電話番号を維持したまま他社に乗り換えるMNPは転入プラスの状況がが4四半期連続で続き、新規契約数は前年同期から33%増加した。

料金プラン「ドコモMAX」は10月27日時点で500万契約を突破。2026年度第2四半期のARPU(Average Revenue Per User:ユーザー当たりの平均売上高)は前年同期比80円増の4040円となり、通期予想も従来の4010円から4040円に引き上げた。

個人名義のモバイル通信サービス収入は前年同期比46億円の減少だったが、前年の221億円減から比べると減収幅は縮小している。同社は今年度に増収に転じると見込んでいる。

一方、コンシューマ通信領域では販売促進費用が前年同期比276億円増加したほか、ネットワークの強靭化費用も増加したことなどから減益となった。

法人事業では、AIやセキュリティ関連の需要を取り込んだ。新規受注は前年同期比9%増、セキュリティなどの成長領域では同29%増となった。NTTドコモビジネスが展開する「AI-Centric ICTプラットフォーム」の導入企業は約2000社に達した。

  • 需要に応じてネットワークやGPUを利用できるas a Serviceモデルを展開する

    需要に応じてネットワークやGPUを利用できるas a Serviceモデルを展開する

NTTデータグループは営業利益46.4%減も国内事業は増収増益

NTTデータグループの上期売上高は前年同期比10.9%増の2兆6168億円、営業利益は同46.4%減の1442億円となった。営業利益率は前年同期の11.4%から5.5%に低下した。

大幅減益の主因は、前年に計上したデータセンター事業の譲渡益1295億円の反動だ。この影響を除くと前年同期比46億円の増益となる。

日本セグメントは公共・社会基盤、金融、法人の全分野で増収。売上高は前年同期比807億円増の1兆243億円、営業利益は同184億円増の988億円、営業利益率は1.1ポイント増の9.7%だった。

国内の受注高も増加。日本セグメントの受注高は前年同期比2980億円増の1兆3208億円となり、特に金融分野では大型案件の獲得により同2567億円増加した。

  • NTTデータ 国内の収益

    NTTデータ 国内の収益

海外セグメントは売上高が前年同期比1857億円増の1兆6231億円となった一方、営業利益は同1361億円減の396億円だった。前年のデータセンター譲渡益(1295億円)に加え、為替影響などを除いた海外事業の営業利益は前年同期比100億円減少している。

  • NTTデータ 海外の収益

    NTTデータ 海外の収益

データセンター事業では設備投資を継続しており、上期の投資額は13億5800万米ドルとなった。米国のPhoenix、Dallas、Virginiaと欧州のAmsterdamで新たなデータセンターのサービス提供を開始した。

通期予想を200億円上方修正、ドコモの通信品質改善に430億円を追加投資

NTTはドコモの好調な業績を反映し、2026年度の通期営業収益予想を従来の15兆600億円から200億円増となる15兆800億円に上方修正した。

営業利益予想も1兆7100億円から1兆7300億円に、NTTに帰属する当期利益予想は9800億円から9940億円にそれぞれ引き上げた。

また、通期の設備投資計画を従来の2兆4300億円から2兆4730億円へ430億円増額。増額分はドコモのモバイルネットワーク品質改善に充てる計画だ。

  • 通期予想を引き上げた

    通期予想を引き上げた

ドコモは2026年度上期に4500局の5G基地局を構築し、5GとLTEを合わせた基地局数は累計32万3900局となった。

全国の主要鉄道59路線のうち、同社が定めるHD動画を快適に視聴できる通信品質基準を満たした路線は30路線に増加した。2026年度末までに39路線以上への拡大を目指す。

2026年9月からは一部のイベントでノキア製の最新基地局装置を順次導入している。無線ネットワーク最適化技術「Dual Boost」などの適用により、上り・下りの通信速度が約20~30%向上したことを確認したという。

NTTは、ドコモの金融事業や国内外の法人向け事業を拡大する一方、モバイル通信の収益改善とネットワーク品質向上を進める方針だ。