この半導体ニュースのまとめ
・住友ベークライトが京セラのケミカル事業の一部を承継する新会社を子会社化
・住友ベークライトケミカルソリューションとして10月30日付で発足
・半導体封止材などの技術を融合し、AIデータセンター向けの対応力を強化
住友ベークライトは10月30日、京セラのケミカル事業の一部を承継した新会社の全株式を取得し、子会社化を完了したことを発表した。同日付で新会社は「住友ベークライトケミカルソリューション」として発足した。
対象となるのは、京セラが展開してきたケミカル事業のうち、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、半導体用ボンディングペースト、工業用樹脂などに関する事業。京セラが新たに設立した会社へ吸収分割によって対象事業を承継させたうえで、住友ベークライトが同社の全株式を取得する形で実施された。
住友ベークライトは2026年1月、京セラから対象事業を譲り受ける契約を締結したことを発表していた。新会社の設立と吸収分割を経て、今回の株式取得によって一連の手続きを完了したことになる。
資本金2億円で住友ベークライトの完全子会社に
住友ベークライトケミカルソリューションの所在地は東京都品川区で、資本金は2億円。住友ベークライトが株式の100%を保有する。
新会社の設立日は2026年7月9日。半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、半導体用ボンディングペースト、工業用樹脂などの製造・販売を担う。
半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、半導体チップや接続部を熱、湿気、衝撃などから保護し、半導体パッケージの信頼性を確保するための材料。半導体用ボンディングペーストは、チップや部材の接着、固定などに用いられ、パッケージの放熱性や接続信頼性にも関わる。
半導体パッケージの大型化や複雑化が進む中、封止材や接着材料には、低反り性、耐熱性、放熱性、絶縁信頼性など複数の性能を両立することが求められている。
AIデータセンター向け高付加価値材料の開発を加速
住友ベークライトは、中期経営計画「2024-26」のもとで事業ポートフォリオの変革と事業拡大を進めており、今回の子会社化によってICT領域における存在感を高めるとともに、高付加価値製品を生み出す技術力の強化を加速する。
同社は半導体封止用エポキシ樹脂成形材料や半導体用ボンディングペーストなどの分野で材料設計、配合、製造に関する技術を蓄積してきた。これに京セラの対象事業が持つ独自技術を組み合わせ、製品ラインアップや顧客への提案範囲を広げる。
特に成長分野として想定するのがAIデータセンター用途だ。生成AIの普及に伴い、AIアクセラレータや広帯域メモリ(HBM)などを搭載した半導体パッケージは大型化、高密度化が進んでいる。
異なる機能を持つ複数のチップを1つのパッケージに集積するチップレットや、2.xD、3D実装といった先端パッケージング技術の活用も広がっており、封止材を含む周辺材料がパッケージの性能や歩留まり、長期信頼性を左右する度合いが高まっている。
住友ベークライトは、既存技術と新会社の技術を融合することで、こうした用途における幅広い顧客ニーズへの対応を進める。
固形封止材から液状材料まで製品展開を拡大
住友ベークライトは、半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を中核製品の1つに位置付け、先端パッケージングやパワー半導体などの用途に向けて材料開発を進めている。
AI半導体向けでは、パッケージの大型化に伴う反りを抑えながら、必要な加工性を確保する液状封止材「EME-Lシリーズ」を開発。モールドアンダーフィルに対応し、従来は別工程だったアンダーモールドとオーバーモールドを一体化することで、製造工程の削減と生産効率の向上を図っている。
また、SiCパワーモジュール向けには、ガラス転移温度230℃と低応力化を両立した固形エポキシ樹脂封止材料「EME-G785シリーズ」を展開している。パワーモジュール内部のひずみを抑え、チップや基板との界面剥離、樹脂のクラック発生を抑制することで、高温動作時の信頼性向上につなげる。
今回、京セラから承継した技術や製品、顧客基盤を加えることで、住友ベークライトは固形封止材から液状材料、ボンディングペースト、工業用樹脂まで、半導体の用途やパッケージ構造に応じた材料提案を強化できる体制を構築する。
今回の住友ベークライトケミカルソリューションの発足により、京セラから承継した事業は住友ベークライトグループの事業として運営を開始することになる。
半導体市場では、AIデータセンター向けを中心として先端パッケージングの重要性が高まっており、その進化を支える封止材や接着材料にも一段の高機能化が求められている。住友ベークライトは新会社との技術融合を進め、ICT領域における材料事業の拡大と高付加価値製品の創出につなげるとしている。
