
外国為替市場に政府が何回か介入した。直近の日米協調介入では、8月3日、三村淳財務官が『今回の介入は日米通貨同盟の完成形だ』と発言した。『完成形?』と大いに違和感を感じた次第だ。
保有米国債を売らずに「円を買うためのドル」は借入で調達、米国も共同参画する介入。米国当局の説得は大変だったのだろうが、今般の日米の決断は介入行動を少しばかり深掘りした程度のものだ。
そもそも為替レートは貿易収支を含む国際収支表上のあらゆる通貨の動き、各国の金融財政政策、各国経済の地力等を反映し、需給で決まるものだ。介入は一時的な調整行動に過ぎない。
毎日60~70兆円も取引量がある市場で5~10兆円程度の介入では大きな方向を作れない。スピード調整とか「努力している」アリバイ作り程度の効果しかない。
金融同盟の完成形は、例えば1985年のプラザ合意、例えば1997年からのアジア通貨危機に際してのチェンマイ合意等だろう。今般の措置よりも遥かに大掛かりな協調決断だった。
今、高市早苗総理の看板政策2つが発進しつつある。第一に食料品に係る消費税の1%への引き下げ。第二に17産業に官民で370兆円を投じる成長戦略。
確たる財源がないことから、就任後44日で辞任に追い込まれた英国トラス首相ショック時と同様、国内金利の急騰とか更なる円安への大振れとかを惹起しないかと一部、懸念されている。財務省として何か措置を打ちたいことは理解出来る。
だが、財務省が打つべき措置は、もっと大きな青写真の提示なのではないか。説得力ある具体的数字を交え、時間軸に沿った諸根本解決策の全体を示すことだ。短期的な介入だけでは市場や国民への回答には全くなっていない。介入くらいしか出来ることはない、と告白しているようなものだ。
ドル高と米国高金利を嫌うトランプ大統領の意向にも沿うことから、米国は日本からの今般要請に乗ったのだろうが、介入が一時的な弥縫策に過ぎないことはベッセント財務長官も十分理解している。
日本経済問題が米国やアジア諸国等国際経済へ波及することを彼は懸念しており、報道では『日本は金融・財政政策を正しく運営して円為替問題等の根本的解決に取り組むべきだ』と発言した由だ。
その通りだ。米国大臣から教示されるまでもなく、財務省は基本的解決策、もっと大きな総合的技を示すべきだ。独立運営が大前提の日銀との協力も必要だし、日本のみでは出来ない戦略もあるだろう。それこそが同盟の完成形なのではないか。財務省さん、もっとやれるはずだ。