
高市早苗政権の支持率が一進一退の中、片山さつき財務相の手腕が改めて注目されている。
今秋召集予定の臨時国会では、来年4月に予定する飲食料品の税率を8%から1%に引き下げる消費税減税を巡り、与野党の論戦が激化するのは必至な上、2027年度税制改正大綱や予算編成作業など政権の命運がかかる局面が続くためだ。高市首相が9月中にも実施予定の内閣改造でも、片山氏は「今の難局を乗り切れる人材は他にいない」(与党幹部)ため、続投する見通しだ。
片山氏への評価が改めて高まったのは、今夏の中央省庁人事での財務省幹部の処遇だ。
財務省に対する不信感が根強い高市首相の意向で、一時は宇波弘貴主計局長の次官昇格が危ぶまれた。宇波氏は社会保障制度に精通し、厚生労働省も含め宇波氏の下で薫陶を受けた官僚は少なくない上、与野党の政治家からの信頼も厚いといわれる。
早くから次官候補と目された人材を外せば「霞が関全体を敵に回しかねない」(経済官庁幹部)と懸念されていたが、片山氏が高市首相の経済政策を積極的に発信。財務省は「官邸の敵ではない」(同省幹部)ことを訴えるなど部下を守った形だ。”左遷”との評価がつきまとう一松旬主計局次長の東京税関長への異動も、国家公務員の給与体系の等級で主計局次長と同等のポストで処遇し、組織への影響を最小限に留めたとされる。
片山氏は8月上旬に熊本市を訪れ、熊本地震の被災地に対する支援に関し、地元の金融機関や経済団体と意見交換。一方、為替を巡る対応では米財務当局との交渉の最前線を担い、兼務する金融相として最先端の生成人工知能(AI)を巡る海外の動向にも目を光らせている。
「SNS(交流サイト)以外の対外発信が苦手」(自民幹部)な高市首相にとっても、片山氏は政権運営を支える”守護神”といえそうだ。