
金融庁がデリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ「仕組み預金」の規制強化に乗り出している。
日銀の利上げで預金金利が上昇する中、定期預金など他の金融商品の資金を移そうとする顧客が増えているが、仕組み預金の場合、中途解約すると損害金(違約金)が発生し元本割れするケースもあり、金融庁に苦情の声が多く寄せられている。近く監督指針を見直し、銀行側に解約リスクに関する説明の強化などを求める方針だ。
仕組み預金は、契約時の利回りが通常の定期預金などよりも高めに設定される代わりに、満期の時期や受け取り通貨などを銀行側が決められるのが特徴。
インターネット銀行や地銀を中心に販売されており、低金利時代には「高利回りの有利な預金」として人気を集めた。だが、日銀の政策金利が1%と約31年ぶりの高水準となる中、通常の定期預金金利も上がり、仕組み預金はもはや有利な金融商品とは言えなくなっている。利用者は損害金覚悟で解約するか、満期まで資金を拘束されるか決断を迫られる状況に陥っている。
ある金融庁幹部は「問題は低金利時代に利回りの高さばかりが強調され、金利上昇局面に預金者が不利益を被るリスクがきちんと説明されてこなかったことだ」と指摘する。
金融庁の調査によると、仕組み預金の残高は主要行と地銀で計4000億円超に上る。ネット銀行が提供している分も含めれば、規模は更に膨らみそうだ。日銀は中立金利(1.5―2.0%程度と想定)まで利上げを進める見通しで、今後は解約トラブルが急増する恐れがある。
金融界では仕組み預金の新規販売を停止する動きも出ている。だが、過去に販売された商品についてトラブルの火種が多く残っており、金融庁は難しい対応を迫られそうだ。