
テレビ局の将来像について議論する総務省の有識者会議は、同じ地域内で一つのテレビ局が複数の放送チャンネルを兼営・支配する「1局2波」を認める報告書案を了承した。
兼営・支配を制限してきた「マスメディア集中排除原則」を2026年度にも省令を緩和し、ローカル局の経営基盤強化につなげる。人口減少などで広告収入の減少傾向が続く地方テレビ局が再編に向かう呼び水となる可能性がある。
林芳正総務相は、「近年、放送分野は、テレビ離れや広告料収入の減少など、社会環境の変化に直面している」と指摘。「特に人口減少に伴い、経済規模が縮小している地方の民間放送事業者の経営環境が厳しくなっている」と説明した。
その上で、1局2波を認めるのは「放送事業者の経営の選択肢拡大のためだ」との認識を示し、同省として「必要な取り組みを進めていく」と語った。
放送法で規定されている総務省令「マスメディア集中排除原則」はこれまで、表現の自由や言論の多様性確保のため、特定の事業者による複数のテレビ局の支配を制限してきた。
しかし、報告書案は、ローカル局が地域内外へ情報発信する役割を果たし続けるために「なるべく多くの選択肢を事前に準備しておくことも重要だ」と強調。テレビ局経営の選択肢を広げ、組織や拠点の合理化によるコスト削減の他、経営資源を魅力ある番組作りや新規ビジネスに振り向けられるようにする。ラジオは既に、同一地域内で4局まで兼営・支配が認められている。
報告書案に対しては、放送事業者を中心に148件の意見が寄せられた。緩和策については、一定の理解を示しつつも「(再編は)ローカル局の自主自律に基づく経営判断で行われるべきだ」(読売テレビ)などの声があった。