
「片山さつき財務相はもしかしたら守護神かも」
財務省幹部がこう話すなど、霞が関では片山氏の調整能力に期待が高まっている。高市早苗政権の経済運営は、物価高や金融市場の動向で政権の”アキレス腱”になりつつあるためだ。
政府が7月21日に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)では、長年明記されてきた「財政健全化」の文字が消えた上、原案で日銀に対し「適切な金融政策運営を伴うことが非常に重要」との文言が盛り込まれることが判明し、直後に金融市場では円安と金利上昇が進んだ。
与党側で文言調整を主導する小林鷹之自民党政調会長はもともと財務省に近いが「首相に嫌われたくないからか、今は頼りにならない」(財務省幹部)。そうした中、米財務当局や金融市場の動向を重視する片山氏が自民重鎮らと調整に乗り出し、土壇場で日銀の独立性に言及する注釈が加筆された。
骨太の文言に強いこだわりを持ち、首相に近い城内実経済財政相の意向をかわす形での軟着陸。主計局幹部は「原案のままだったら市場の反応がどうなっていたかわからない」と話す。
7月23日、約39年ぶりの円安水準である1ドル=163円台を付けたドル円相場について、片山氏は「必要があれば果断に行動する」と記者団に述べ、円買いドル売りの市場介入を実行する可能性を改めて示唆。
「米財務当局と緊密に連携し、市場の動向を重視する片山氏のバランス感覚なしに政権の経済運営は難しい」(同省幹部)との見方がもっぱらだ。
ただ、財務省としては消費税減税や今夏の幹部人事で「財務省を必要以上に敵視している」(与党幹部)首相を前に、剣が峰に立たされている状況は変わらない。
さすがの片山氏も首相の財務省嫌いを和らげる手立ては持ち合わせていないということか。