カクシン・田尻望の生産性の高め方 ~「51の問い」を読むだけで、必ず自分自身の生産性が上がる~

著者に聞く!~新著「生産性の高めかた」を出版~

生産性はコスト削減ではなく付加価値の最大化

「51の問い」を読むだけで、必ず自分自身の生産性が上がる

シリーズ第3作を出版

―― 新著「生産性の高めかた」(かんき出版)が8月5日に発売されましたが、「付加価値のつくりかた」「再現性の塊」と合わせたシリーズ第3作目になりますね。

「生産性の高めかた」(かんき出版)

田尻 かつてのように人口が増え続けない日本が生き抜くために必要な要素が「生産性を高める」ことです。そのためには「付加価値とは何か?」を学び、その付加価値を高めて企業収益を上げ、企業価値を高めることで皆が幸せにならなくてはなりません。しかし、多くの人が生産性を教わることなく、今も間違った解釈をしています。

「付加価値生産性」とは「付加価値額」を「投入時間」で割った数値です。つまり、時間の削減であって人の削減ではありません。それなのに、日本の多くの企業は人員削減や給料の引き下げといった、人件費を削ることを考えてしまいがちです。確かに営業利益は高まるかもしれませんが、その代わりに従業員の総労働時間は増えてしまいます。

―― 削減すべきはコストではなく時間ということですか。

田尻 そうです。本来あるべき生産性の高め方とは、人の能力を高め、同じ仕事を短い時間でできるようにすることです。

その点、今はAIの時代です。これまでの型通りの仕事はAIに置き換わり、人はもっと発想力や創造力を活かす仕事に従事することになります。

その仕事の最たる例が、顧客にとっての価値を見つけ、解決策を提示し、顧客の願いを叶えることです。それが生産性の源泉であり、価値の源泉になります。そのための無駄な時間をいかに減らすかが基本的な生産性の上げ方なのです。

―― その方法が本著には著されているのですね。

田尻 はい。人は誰でも思考します。頭の中でたくさんの思考を繰り返しているのです。しかし、一度、命令や指示を受けてしまうと、その人は考えなくなってしまう。逆に言えば、人は「問われる」と考える生き物なのです。しかし、その問いにも質があります。そこで生産性を高める項目の問いを抽出しました。それが「51の問い」です。

例えば、「お客様が本当に解決したいと思っている問題は何だろうか?」という問いがありますが、ポイントは「本当に」という言葉が含まれている点です。「本当に」というこの3文字思考を深めるのです。

―― 具体的には?

田尻 採用のシーンを思い浮かべてください。「オンラインで働けるようになりたい」という声があった場合、「本当にオンラインで働けるようになりたいのですか?」と問いかけると、採用の仕方は大きく変わります。

もしかしたら、親の介護があるのかもしれない。あるいは、海外で働くのが夢で、オンラインであれば日本にいない時間でも働けると思ったのかもしれない。そういった言葉のより深い領域にまで問いかけ続けると、その会社の採用方法が様変わりし、これまで採用できなかった人材を採用できるようになるかもしれません。

1000社・1万人超との対話

―― 潜在的なニーズをどのように掘り起こすかが分かる?

田尻 その通りです。「51の問い」を読むだけで、必ず自分自身の生産性が上がるはずです。

2008年に大学卒業後、キーエンスでコンサルティングエンジニアとして社会人としての道を歩み始め、これまでに1000社・1万人以上の経営者や企業幹部の方々との対話から、そのメソッドを導きました。

私は直接お会いしたことがありませんが、キーエンス創業者の滝崎武光さんは、とにかく質問が上手だったようです。滝崎さんから質問されると、とにかく考えさせられるというのです。キーエンスが顧客の課題解決策を提供することができた背景には、そういった伝統があったのではないと思うのです。

―― 田尻さんが創業したカクシンも事業がコンサルティングであり、ソリューション提供でもありますね。

田尻 ええ。当社のお客様にはいつもこう言っています。新事業開拓は、顧客のニーズがあって成り立ちます。そのニーズは相手に問い続けなければ言語化できません。なぜならお客様自身も気づいていないからです。ですから、常に顧客と向き合い、問い続けなければなりません。そして常に「問い」を頭の中に持っていなければ自分と向き合い続けることはできません。

これまで日本人は物事には正解があると教え込まれ、自ら「問い」を立てて考え抜くことから離れてしまっていました。しかし、人間には「思考」があります。この思考を常に繰り返していくことが重要なのです。

カクシン代表取締役CEO

田尻望 (Tajiri Nozomu)

京都市出身。2008年大阪大学基礎工学部卒業後、キーエンスでコンサルティングエンジニアとして重要顧客担当や販売促進技術などに従事。13年研修会社の立ち上げに参画して17年戦略革新研究所(現カクシン)を設立。現在は「成果にコミットするコンサルティングファーム」を掲げ、多数のコンサルテーションを実施、売上2兆円超の企業から中堅企業まで、規模を問わず成果を創出。