
1日の目標歩数を達成すると「Vポイント」が10円分もらえる……。弊社が2009年から健康経営として取り組んでいる「タニタ健康プログラム」に新たに取り入れた施策です。
健康経営への関心が高まる一方、実際に取り組む企業では制度はあっても社員の行動変容にはつながっていないという課題を耳にすることがあります。そんな中で社員の健康行動を促進する健康経営の取り組みに、Vポイントで褒賞を支払うという、弊社として初めての施策を始めました。実はこの取り組みの起源は先代社長である私の父が始めたものでした。
私が社長に就任する以前から、父は体組成計や血圧計などに赤外線通信機能を搭載し、各機器から得られるデータを蓄積させるといった健康管理事業を始めました。今でこそ通信機能を備えたヘルスケア機器は珍しくないですが、当時は一般家庭にインターネットが普及し始めたばかりで、データセンターもない時代です。機器自体が高額であったことから事業が振るわず、大きな赤字を抱えていました。
その後、私が社長に就任すると、当然の如く社内からは事業廃止の圧力。それでも事業に対する父の強い思いに加えて、将来的にも需要があると考え、まずは赤字解消のために製品改善をすべく、全社員に機器を使ってもらうことにしました。
このとき使用していた機器の一つが歩数計で、今の弊社の社員証につながります。現在の弊社の社員証は活動量計一体型となっており、歩数や活動エネルギー量、総消費エネルギー量などの計測が可能です。歩数計や体組成計などを継続的に使ったところ、徐々に歩数増加や体脂肪率減少といった変化が見られたのです。そこで「これは医療費も変化しているのではないか」という仮説に至りました。
実際に医療費データを分析してみると、10年度の社員1人当たり医療費はプログラム導入前の08年度と比較して9%減少。弊社が所属している健康保険組合平均と比較すると、医療費が18%減少していることが判明しました。健康への取り組みが具体的な経済的価値を持つことを証明しました。このことが「平成24年版厚生労働白書」で「メタボ解消成功事例(職場編)」として紹介されたのです。
これが契機となり、従来の個人向けから企業や自治体向けのソリューションへとビジネスモデルを転換。医療費を適正化するパッケージとして「タニタ健康プログラム」の提供を開始しました。その後も試行錯誤を重ね、冒頭のような健康行動をポイントとしての可視化に加え、継続的な行動変容を促す施策の構築に取り組んでいます。
昨秋より南青山アドバイザリーグループが開発した「エンゲージメントストック」を導入しました。経営理念に基づく行動をポイントメニューとして設計し、これらを実践した社員にポイントを付与するサービスですが、弊社ではこの仕組みを、「健康ポイント」を管理するツールとして活用しています。健康ポイントの付与履歴などを確認でき、この点でも社員のモチベーション向上につながると考えています。
少子高齢化の影響を受け、公的年金制度においては50年には1人の高齢者を現役世代1.4人で支える構造になるといわれています。企業も雇用延長が義務付けられ、上限年齢も引き上げられています。国の将来を明るいものにするためにも、自社社員の健康づくりに注力し、1人でも多くの社員の健康を維持することが、すべての企業の使命でもあると考えています。