
開会中の特別国会で重要法案の一つである医療保険制度改革関連法が、与党と国民民主党などの賛成多数で可決、成立した。目玉は市販薬と成分や効能が似た「OTC類似薬」を処方された患者に追加負担を求める新制度の創設だ。
通常の保険診療と保険外医療の組み合わせを例外的に認める「一部保険外療養」という仕組みを法制化することで、対応する。政府は将来的にOTC類似薬以外の医療行為も幅広く一部保険外にできる制度設計にしていたものの、野党や患者団体が猛反発。国会審議の最終盤で「薬剤のみを対象とする」と方針転換を余儀なくされた。
OTC類似薬の新制度は27年3月に開始予定で、医療費削減のために花粉症薬や鎮痛剤などの薬剤費の25%を公的医療保険から外し、全額自費の特別料金とする。
厚生労働省によると、追加負担の対象となる薬剤は現時点で、77成分約1100品目。この中には、花粉症薬や湿布、保湿剤など身近な品目が多く含まれる。
条文には新設する一部保険外療養で追加負担となる対象として、OTC類似薬を指す「一般用医薬品などとの代替性が特に高い薬剤」の他に「その他の適正な医療」と記したため、野党などが「厚労相の裁量で追加負担の対象が薬剤のみならず、保険診療全体に際限なく拡大されるのでは?」と指摘した。
実際に野党の指摘通りに新制度が運用されると、医療費削減の「強力な武器」に使われる可能性があった。
もっとも、厚労相の上野賢一郎氏は国会審議などで、保険外の範囲を医療行為全体に広げることについて、「想定していない」と否定したが、野党側は条文からの削除を強く求めた。
結局、法案が成立する直前の参院厚労委で、保険局長の間隆一郎氏が新制度による追加負担の対象について「薬剤のみと解釈している」と答弁。いったんは幕引きとなったが、患者団体は「条文を修正しなかったので、また解釈変更されるかもしれない」と懸念していた。