【 経済産業省 】中小企業の価格転嫁適正化へ 国・自治体発注取引の実態調査

中小企業庁は、国や地方自治体が中小企業に発注する物品調達や公共工事を巡り、適正な価格交渉が行われているかを把握する実態調査を始める。地域経済に与える影響が大きい官公需の取引を適正化し、中小企業が継続的に賃上げできる環境を整備する狙い。受注者である中小企業に価格転嫁の評価を聞き取り、転嫁が進んでいない団体を公表する。

 対象企業は最大14万社に上る見込み。中企庁は2026年度中に結果をまとめる。

 中企庁は年に2回、全国の中小企業を対象に価格転嫁に関する調査を行い、10社以上の企業から主な取引先として挙げられた企業や団体の評価を公表している。ただ、民間企業との取引も調査対象に含まれているため、官公需に関する回答は限定的だった。

 このため、中企庁は国や自治体などの1984機関に契約先リストの提出を新たに要請。リストに記載の企業に、公的機関がどの程度価格交渉に応じたかなどを評価してもらう。取り組み状況を数値化し、省庁や自治体別にランク付けして公表する方針だ。

 同庁が実施した3月時点の調査によると、官公需における価格交渉の実施率は90.2%と、昨年9月時点の前回調査から0.7ポイント上昇した。一方で、価格転嫁率は48.4%にとどまっており、前回調査から3.7ポイント下落した。特に都道府県や市区町村の価格転嫁率が、国などに比べ低い傾向にあった。

企業からは、「複数年度で契約した案件について、契約期間途中で価格交渉をしたものの、転嫁を認めてもらえなかった」、「最低賃金が上昇したにも関わらず、差分の転嫁をしてもらえなかった」といった声が上がった。

 同庁担当者は「中東情勢の影響で、燃料やプラスチック製品が値上がりしている。物価上昇を上回る賃上げを継続するためにも、まずは公的機関が範を示す必要がある」と強調する。同庁のある幹部は「『とにかく安ければいい』という従来の考えを見直し、中小企業の賃上げを後押ししてほしい」と呼び掛けていた。

【 何故、わが国の実質賃金は低迷しているのか? 】大和総研副理事長・熊谷亮丸