
3分の1押しが攻防の分岐点に
日経平均は6月22日に7万2831円で一番天井、6月25日に7万2594円で二番天井と、7万2000円台でダブルトップを形成した形になっています。そしてこれ以降、7月上旬現在、一度も7万2000円を回復していません。7月1日に7万1962円を付けましたが、この日を境に7万円割れが続いています。
私は以前から、7万2000円台は要警戒だと指摘してきました。株価の波動から見て、典型的なダブルトップを付けており、この後は下落調整局面に入る可能性が高まっています。
前述の7月1日の7万1962円は典型的な戻り高値であり、「空売りの急所」でした。この日で当面の下落トレンドに入ったと見ています。
7月3日には6万7609円という安値を付けていますが、今後さらに下回ってくる可能性が高いのではないかと見ています。この後は6万5000円が攻防の分岐点となります。
6万5000円辺りで下げ止まるようであれば調整局面は比較的浅く、期間も短く済みます。下回るようだと調整が長引くというのが波動から見た現状分析です。
今回の短期上昇波動の出発点は3月31日の安値、5万558円です。そこから6月22日の一番天井、7万2831円まで約2万2000円上昇しました。これに対する3分の1押しが6万5000円になります。
上昇トレンドが継続するようであれば、6万5000円近辺で底入れします。ここを下回ると調整が長引き、半値押しの水準まで下がる可能性があります。半値押しは6万円近辺です。
上昇第1波の最安値を見ると5月20日に5万9292円という安値がありますが、これがほぼ半値押しに相当します。
ここからの株価の動きは要警戒です。6万5000円近辺で底入れするか、あるいはそれを下回って6万円前後まで下げるか、今後の見極めが必要です。
個人投資家としては、今はできるだけキャッシュ比率を高めるべきタイミングだと言えます。利益が出ているものは利益確定売りをし、含み損があるものは傷が浅いものに関しては損切りをする。積極的に新規投資をする局面ではないというのが現在の状況です。
今の相場は「AI革命相場」ですが、その牽引役であるキオクシアホールディングス(東証PRM 285A)も、日経平均の一番天井と同じ6月22日に11万2700円という最高値を付けて、下落トレンドに入っています。これが短期的に底入れするか、大崩れになるかは、まだ見極めが難しい状況です。
キオクシアHDは7月3日、6万7190円という安値を付けていますが、これは6月11日に付けた6万7600円に対するダブルボトムを形成しているようにも見えます。
ここから下げ止まり、7月3日の6万7000円台で底入れするのが楽観シナリオです。もし、この水準を下回るようであれば、AI革命相場は一旦終了と見る必要があります。そうなるとキオクシアHDだけでなく、アドバンテストや東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどの関連銘柄も総崩れになる可能性があります。
仮に6万7000円付近で底入れしたとしても、しばらくは日柄調整が続くと思われます。いずれのシナリオでも、安値圏での揉み合い、あるいは下落するリスクがあるため、慎重に見極める必要があります。
以上は国内要因ですが、海外要因として、米国の株式市場でもAI、ビッグハイテク株の下落が始まっています。
例えば、相場を牽引していたマイクロン・テクノロジーは直近で急落していますし、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる主要7銘柄も、チャートを見ると多くが頭打ちとなって下落トレンドの兆しを見せています。
日米ともにAI・ハイテク関連株が調整局面に入る可能性が高いため、要警戒のフェーズと言えます。
この要因はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ観測です。元々は利下げが期待されていましたが、逆に利上げされる可能性が出てきています。早ければ7月、遅くとも9月のFOMC(連邦公開市場委員会)でそれが現実味を帯びるのではないかという見方が強まり、株価の重石になっています。
また、日銀も今後は慎重ながら利上げに進むと見られています。これまで株価上昇を支えていた「利下げ・金融緩和」という大前提が、日米ともに転換期を迎えています。これが株価の波動に現れているのだと考えられます。
株価の下落要因として以前「3つの条件」を挙げましたが、1つ目として最も大きなインパクトを持つのが利上げ、金融引き締めです。これが下落リスクにつながる主な要因です。
2つ目は税制問題です。米国は大型減税を行いましたが、現在は材料出尽くし感があり、日本は消費税減税などに否定的であるため、株価にはマイナス要因として働いています。もちろん、増税は〝ウリ〟材料です。
3つ目は国際情勢、地政学リスクです。トランプ大統領の仲介で米国・イラン間の緊張は一段落したように見えますが、依然として一触即発の状況に変わりありません。イスラエルが合意を受け入れていなかったり、米国とイランの主張が食い違っていたりと、不確定要素が多い。
さらに、ロシア・ウクライナ戦争も互いの首都付近や重要施設を攻撃するなど激化しています。
日米の株式市場を取り巻く環境は不透明・不安定であり、世界の投資家はいったんキャッシュの確保に動いています。その結果、暗号資産や金も売られており、市場全体が「リスクオン」から「リスクオフ」にシフトしているのが現状です。
こうした相場で個人投資家が損失を抱え続けると市場が冷え込みます。新NISAからの資金流入で底堅さもありますし、長期的には上昇トレンドが続きますが、短期的にはAI革命相場は踊り場を迎えています。なので、今は一度ポジションを整えて、次の上昇局面に備える時です。