
物価高と円安に歯止めがかからない中、片山さつき財務相の対応に注目が集まっている。為替市場では1ドル=160円超が続き、物価高対策や消費税減税も「円安で相殺されて効果はほとんどなし」(財務省幹部)との指摘もある。今後対応を誤れば、政権の求心力低下を招きかねない。
今月政府が閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」でも波紋が広がっている。原案には日銀の適切な金融政策運営が「非常に重要だ」と明記し、日銀に対し「日銀法第4条と政府・日銀の共同声明の趣旨に沿って政府と緊密に連携」するよう求めるなど、利上げを志向する日銀をけん制する文言が示された直後、長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りは一時2.830%まで上昇。高市早苗首相の意向が財政への懸念を強めた形だ。
片山さつき財務相は3日の閣議後会見で、為替に関し、具体的な言及は控えるとした上で「われわれの方針は何ら変わらない」とし、米国との緊密な連携を踏まえ「いつでも適切に対応する」との考えを改めて強調。金融政策の具体的な手法については「日銀に委ねられている」と語った。
片山氏は一貫して淡々と答弁しているが、財務省幹部は「これ以上円安が進めば政権への批判は確実に強まる。容認できる為替水準を見極めたいのではないか」(幹部)と解説する。省内では「首相は経済でも片山氏にほとんど相談していない。内心忸怩たる思いではないか」と慮る声もある。
高市政権の経済政策を巡っては、6月、自民党の小渕優子元経済産業相が党税制調査会の非公式幹部会合(インナー)メンバーを辞任。財務省に近い小渕氏が公然と「高市一強」に反旗を翻したとされ、永田町に衝撃が走った。「小渕氏の考えに近い自民議員は少なくない」(自民中堅)といわれる。経済政策が今後政局の火種になる可能性もあり、片山氏の動向も気になるところだ。
一方、30日の閣議後会見でサッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会決勝トーナメント1回戦で、ブラジルに1―2で敗れた日本について「大変立派だと思う」と森保一監督や選手への思いを語った。司会者が会見終了を告げた後、問わず語りでのサプライズ発言で、周囲を驚かせた。