
日経平均株価が7万円の大台に乗り、世界中の機関投資家から注目されている日本企業。しかしその一方で、国内の会計不正公表件数は増加の一途を辿っています。期待が集まっているだけに、この流れを止めてしまってはいけません。
なぜ不正会計が起こるのか。もちろん根本的な原因は〝人〟です。そもそも不真面目な人による故意の不正もあるでしょうし、中には単純なミスもある。しかし、日進月歩で進化するテクノロジーを駆使すれば、不正を防止することができますし、単純なミスを防ぐことも可能です。
当社は2001年に米ロサンゼルスで創業し、経理・決算オペレーションハブ「Black Line」を提供する経理財務のDXを支援する会社です。当社のサービスの導入企業は世界130カ国以上で約4400社に上り、39万を超えるユーザーが利用しています。日本国内でも100社以上に導入されています。
当社のサービスは決算業務を中心に、既存の会計システムなどでカバーされない手作業をデジタル化することによって、経理部門で働く人々の負荷を下げるお手伝いをしています。
具体的には、経理・決算業務のタスク管理や勘定照合、差異分析、グループ内取引管理などをクラウド上で自動化し、同時に可視化することができます。それまでエクセル中心の手作業で行っていた作業が不要になるわけです。さらにERP(統合基幹業務システム)や会計システムの「外」で行われている決算関連の周辺業務も標準化し、進捗や承認履歴などを一元管理できます。ですから、リモートワークなどにも対応可能です。
当社のサービスによるメリットは経理・財務部門の業務が楽になるだけではありません。日本企業の競争力向上にも寄与します。どういうことか。昨今、プライム上場企業などでCFO(最高財務責任者)がCEO(最高経営責任者)に昇格するケースが増えています。それだけ財務に明るいことが経営トップの素養になっているのです。
AIなどの最先端テクノロジーの進展や米・イラン戦争に代表される地政学リスクなど、先行きが見通せない国際情勢の中で投資余力をどこに振り向けるべきかといった重要な経営判断は、現金の流れをしっかり理解していなければ的確に下すことが難しくなっているのです。
ところが日本企業の経理・財務部門の業務は、その多くが単純作業ばかり。そこで働く人たちも真面目でコツコツと仕事をするタイプの人が多いように思います。ただ、往々にしてデジタル化が遅れている部門でもあります。コロナ禍で出社が規制されていたときでも、出社を余儀なくされた人がいたことは記憶に新しいところです。
私はこういった人々の能力を解き放つことが日本企業の成長に大きく寄与するように思うのです。単なる「決算の担い手」という位置づけではなく、「価値創造の担い手」に変えていく。この発想の転換が求められます。
ファイナンスの知見が経営戦略の中核を担い、CFOが経営判断をリードする時代が到来しているのです。だからこそ、過去の数字をまとめるだけの仕事ではなく、未来の経営判断をする仕事に人材を振り向けていくことが重要です。
私自身、新卒でノンバンク系のリース会社に入ったところ、半年後には会社更生法下に置かれました。しっかりした経営の必要性を肌身で感じていたからこそ今の自分があります。経理・財務部門の人たちの伴走役として今後もサービスに磨きをかけていきたいと思っています。