
金融庁は7月の新事務年度から従来の監督局を「資産運用・保険監督局」と「銀行・証券監督局」に分割する大規模な組織再編を実施。発足から四半世紀を経て金融行政の高度化に向けて新たな一歩を踏み出した。
ただ、経済成長や地方創生に資する金融機能の強化や、AI(人工知能)の急速な進展に対応したサイバーセキュリティ対策、協同組織金融機関へのモニタリング強化など、難題が山積。庁内からは「やるべきことはたくさんあるが、圧倒的に人が足りない」と悲鳴も上がる。
AIを巡っては、3メガバンクなどを中心に活用は進んでいる。一方、米アンソロピック製「ミュトス」など、最先端のAIを悪用したサイバー攻撃への懸念が高まり、負の側面もクローズアップされている。
金融庁は昨年12月、地銀などが地域経済の活性化に貢献するための施策をまとめた「地域金融力強化プラン」を発表。地域金融機関が事業承継やM&A、DXなど企業をあらゆる面で支援することを目指す。だが、ITやコンサルのノウハウを持つ人材が限られる地域金融機関が力量を発揮できるかは未知数。
実態とは裏腹に、政府・与党の期待は高まるばかり。高市政権は17分野の戦略投資に絡んで、「地域未来戦略」を提唱。地域の資源や人材を発掘、活用、統合して基幹企業を育てるキープレイヤーを地域金融機関が担うことを想定する。「地域金融力強化プラン」をしのぐ難易度の高いタスクとなる。
金融機関の破綻処理に追われた平成金融危機時代の執行官庁から、フィンテック育成施策や資産運用立国戦略を仕掛ける政策官庁に飛躍した金融庁。だが、活躍のフィールドが広がった分、課題は複雑多岐にわたり、行政責任はますます重くなっている。