国立高等専門学校機構 東京工業高等専門学校(東京高専)と、さくらインターネットは7月1日、国産クラウド・AIを活用した次世代技術者の育成を推進することを目的とした基本合意を締結した。

基本合意締結の背景

近年、生成AIをはじめとするデジタル技術の急速な進展に伴い、社会や産業を支える基盤技術として広く浸透している中で、デジタル技術を実践的に活用できる人材の不足が課題となっており、IPA「DX動向2025」によると、日本企業の85.1%がDXを推進する人材が不足しているとされている。こうした状況を踏まえ、AI時代に対応した人材を育成するため、教育機関と企業が連携した実践的な学習機会の充実が求められているという。

これまで東京高専は、工学分野における実践的教育と社会実装教育を柱に、ロボット分野などのさまざまな強みを生かし、新しい価値を創造できるエンジニアの養成に取り組んでいる。一方で、AIの急速な進化で現実世界のものづくりが、仮想世界と高度に融合する中、実務に即した教育環境や学習機会の拡充が求められてきたとのこと。

また、さくらインターネットは、2023年に国立高等専門学校機構と包括連携協定を締結し、デジタル人材創出を目的とした人材・技術・資源を相互に活用する教育支援を全国で実施している。さらに「さくらのクラウド検定」や「さくらのAI検定」などを通じて、学生から社会人まで幅広い層に向けたデジタル人材の育成にも取り組んでおり、国産クラウド・AI分野における実践的な教育プログラムや技術的知見を有している。

こうした背景のもと、両者は、東京高専の実践的な教育基盤と、さくらインターネットが有する国産クラウドおよびAIに関する技術的知見を掛け合わせることで、AI時代に即した人材育成と産学連携の強化を図るべく、合意に至った。

合意の概要

合意を通じて、東京高専が実施するサイバーフィジカルなどの社会実装をはじめとする各種教育活動において、さくらインターネットがクラウド技術および技術的知見を活用し、次世代エンジニアおよびイノベーターの育成、研究・教育支援、情報発信、人材交流といった活動を推進する。

各者の役割として、さくらインターネットはクラウド技術および技術的知見の提供を通じて、教育および研究活動の支援、東京高専が実践的な教育活動の推進を担い、次世代のエンジニアおよびイノベーターの育成を行う。

連携・協力事項では7月2日から全3回でクラウドおよびIT基盤に関する基礎知識の習得を目的とする出前授業を実施(3年生対象)。また、小規模LLM(大規模言語モデル)の構築や特化型モデルの開発を行う実習授業(4年生対象)を行うほか、ロボット実機を対象とした強化学習・生成AIによるフィジカルAI研究の推進(協力校と共同実施)、全国のU16プログラミングコンテストのフルオンライン開発環境と大会運営サポートシステムを構築(東京大会で実装・運用し全国展開)する。

さらに、低学年からの「実践」の積み重ねを生かし、国産AI基盤などを活用しながら、学生の柔軟なアイディアを形にし、社会に実装するプロジェクトを支える産学協働モデルを開発。

今後も東京高専とさくらインターネットは、合意を通じて教育・研究環境の高度化を図り、AI・クラウド社会に貢献する次世代技術者の育成に取り組む考えだ。