
高い政権支持率を保つ高市早苗政権だが、”急所”は物価高対策といわれる。政府は物価高を踏まえ3兆円規模の2026年度補正予算編成を決めたが、6月に入り、為替市場では1ドル=160円台に再び突入。政府・日銀は今春、11兆超円規模の為替介入を実施し、一時1ドル=155円台まで急騰したが、わずか1カ月あまりで為替介入前の円安水準に戻った。
イラン情勢の不安定化もあり、円安基調が止まる気配がない中、政府の対応が後手に回っている印象なのは「高市首相が周囲を信用せず、側近や官僚を使いこなせていない」(財務省幹部)のも一因だといわれる。
片山さつき財務相は6月9日の閣議後会見で、1ドル=160円前後で推移している円相場について、今月半ばにフランスで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)など国際会議を控えている点を踏まえ「(関係者が発言を控える期間を指す)『ブラックアウトピリオド』になるので発言しやすい時期ではない」とわざわざ指摘した上で、「このような状況では、常に断固たる措置を取る用意があることは変わらない」と強調。従来通り為替介入の可能性を示唆し、過度な円安をけん制した形だ。
高市政権の支持率は高い水準を維持する一方、一部調査では物価高を背景に若い世代や女性の支持率が低下しつつある。
高市首相の財務省に対する不信感は根強く、一時は今夏の中央省庁幹部人事を巡り、周囲に「財務省の要望通りにはしない」と語っていたとされる。片山氏など閣僚や側近に対しても、メディアの一部報道について「勝手にリークした」と激怒し、首相就任直後と比べ「明らかに距離ができている」(与党幹部)のだ。ある財務省幹部は「ここまで周りの話を聞かない首相は初めてだ」と打ち明ける。高市首相に抜擢された片山氏にとっては痛しかゆしの状況だ。
とはいえ、今の財務省にとっては、飲食料品にかかる消費税減税を衆院選で公約したゼロではなく、「1%」で決着させることが最重要課題だ。将来の財源確保を踏まえれば、「0%」と「1%」では税率を戻すハードルが格段に違う。
財務省としては高市首相への”面従腹背”が当面は最良の対応策ということか。