
「銅」の獲得競争が激しく
「知見を生かして、再生材が選ばれる市場づくりに貢献したい」――こう話すのはNTT執行役員の爪長美菜子氏。
6月3日、NTTと三菱マテリアルは銅などの金属資源を回収、リサイクルした素材の供給と、その情報発信を進める新会社「NTTサーキュラスト」を7月1日に設立することを発表した。
出資比率はNTTが66.6%、三菱マテリアルが33.4%で、社長にはNTT研究開発マーケティング本部担当部長の宮崎敬樹氏が就く。事業規模としては2030年頃に30億円、2035年度には300億円程度を目指している。
新会社は、使用済みのIT機器や通信設備から、銅などの金属資源を回収してリサイクル、その再生材の製造・販売を担う。ただ、こうしたリサイクルは、三菱マテリアルを始めとした素材各社が手掛けてきたことでもある。
今回の新会社が違うのは、資源の再利用にあたっての「データ」を収集、整理すること。これまでは再生材を活用している企業は、その再生材がどの程度環境負荷を低減できているか、どのIT機器や通信設備から回収されたものなのかといった「情報」を把握することができていなかった。
これまでは、いわば「トレーサビリティ」がなかったということ。新会社ではNTTが培ったデータの力を生かして情報発信、将来的には業界横断で活用できるプラットフォームを目指す。これによって再生材を活用する企業としても、その利用によってどれだけ環境に貢献できているかを説明しやすくなる。
また、こうしたリサイクルで銅を国内調達できる体制をつくることも重要。現在、銅はデータセンターなどで使われて需要が高まっている。だが、「将来的に需要が拡大していくが新しい銅鉱山の開発は進まず、需給ギャップが生まれるだろうという恐れから価格が上がっている。海外の特定の地域に偏在しているので獲得競争が激しくなっている」(三菱マテリアル執行役常務の井上達也氏)。
国として銅資源を確保する意味でも重要な今回の新会社。業界を越えた連携も必要になる。