
もっと金融リテラシーを高めることに貢献したい─。東証プライム上場の不動産会社で営業を務めていたとき、不動産のみならず、証券や保険、債券なども取り扱い、お客様の資産形成に最も寄与できる提案をしてきました。そのお陰でMVPを3年連続で獲得できたのですが、同時に疑問を抱きました。
「日本人はこれほどまでに金融リテラシーが低いのか」
ただ、当時はこのテーマに対する自分なりの答えが見出せておらず、心のどこかでモヤモヤとした〝しこり〟が残り続けていました。私自身は前職での経験を活かし、2022年に投資用不動産の建設から売買、運用サポートまでを一気通貫で行う当社を創業。お客様からの支持をいただき成長を続けています。
そんな中で私の〝しこり〟を打ち消すようなヒントを与えてくれる人物と出会います。それが米UCバークレー芸術科を「オールA」で卒業し、デジタル領域を中心に活動するメディアアーティストの安田真之助君です。安田君の兄とは昔からの友人だったことが縁です。
帰国して起業した安田君と食事していたときに、「不動産のゲームを作ることはできる?」と私が尋ねると、安田君からはイエスの回答が。そこで一気に意気投合し、24年に世界初の不動産投資シミュレーションゲーム「メタバンチョー ~10億円欲しい人がやるゲーム~」を開発しました。
このゲームは限りなくリアルを追求しています。東京23区を舞台に、実際の地価や家賃相場データと連動しているため、〝ほぼ現実〟の経済環境下で資産形成を誰でも無料で体験できます。国土交通省が発表する「地価公示」データを年に1回更新して反映させており、数字は極めてリアルです。ただ、それだけだとゲームの要素が薄れてしまう。ゲームとしての面白さを出すために、23区ごとにボスを配置したり、スゴロクのように「金の懐中時計」を使って時間を進めるシステムを採用したりしました。また、デザインもポップにして、若い世代にも親しみやすくしています。
私が抱えていた〝しこり〟の解決方法として、1対1では限界がある金融リテラシーの向上をゲームであれば一気に広げることができます。実際、ユーザーのメイン層は20代~30代の男性ですが、中には8歳のユーザーもいました。親子の会話の中で「お母さん、今の利回りは何%?」といった会話も飛び交っているかもしれません。
また、メタバンチョーの紹介を含めて25年には東京大学や京都大学進学者を多数輩出する西大和学園中学校・高等学校で「お金の特別授業」を開催しました。進学やキャリアを考える若者に金融リテラシーのみならず、私や安田君の歩みを交えた「挑戦するマインド」を伝えることができました。これは学校の先生ではあまり教えることができない分野だと思います。
そして日本人の金融リテラシーを上げることは不動産業界全体のレベルを前進させることにもつながります。お客様の金融リテラシーが上がるわけですから、業者側も下手な商品を出せなくなり、結果として業界全体が健全化するからです。
金融やAIといった領域は今後の日本の成長には欠かすことのできない領域です。そのためにも幼少期から青年期といった若い頃から金融の世界に触れておくことが何よりも大切なことになります。学問を通じた知識の習得だけでなく、金融を通じて生きる力を得る─。メタバンチョーの真の役割は、そこにあると思っています。