
「世界中の99・99%の人が見たこともない部品をつくっています」―─。半導体製造装置・高速鉄道などに活用される真空部品「ベローズ」の開発・販売を手掛ける入江工研。ニッチな分野で多くのトップシェア製品を開発している。創業者である父の死や工場の度重なる自然災害を乗り越えて60年、社長の入江則裕氏は「苦しい時代を乗り越えることができたのは技術があったから。縁の下の力持ち的な存在として成長したい」と語る。
工業と研究を同時にやる会社
─ 1966年の会社設立から60年の節目を迎えた入江工研ですが、まずは真空技術とはどんなものか。そして、入江工研の強みとは何なのか。そこから聞かせてもらえますか。
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入江 当社は真空に関する特殊な製品をつくっている会社でして、「ベローズ」と呼ばれる伸縮管を製造しています。ベローズ(Bellows)は日本語で「蛇腹」という意味を持っており、半導体や液晶・真空機器をはじめとした幅広い分野で、気体・流体の気密封止のシール用部材として使用されています。
─ 大気と真空を遮蔽するということですね。
入江 そうです。具体的には、 半導体分野や医療機器、加速器、核融合など、特殊な装置の部品として使われています。
─ 核融合ですか。
入江 はい。いわゆるフュージョンエネルギーですよね。これは核融合が肝になっています。わたしは今後、エネルギー資源に乏しい日本を助けるのはフュージョンエネルギーだと思っていまして、当社の技術を核融合発電に応用していこうと。
すでにナショナルプロジェクトとして、国が推進する数々の科学実験施設に各種装置を提供しています。あとは人工衛星ですね。宇宙は真空ですから、そこで使う部品をつくっているというのが、当社の強みであり、独自性なのだと思っています。
─ 非常に特殊な部品というか、ニッチな分野ですね。
入江 ええ。うちはニッチかつトップシェアの技術が多いんですね。
例えば、ニューテーションダンパーという部品がありまして、これは人工衛星のスピンを抑制する部品なんですけど、これがいろいろな人工衛星に積まれていまして、一番遠いところでは今年中に水星まで到達するような衛星にも採用されています。
われわれがよく言っているのは、世界中の99・99%の人が見たこともない部品をつくっていますと。本当にニッチな分野なので説明が難しいですが、縁の下の力持ち的な存在だと自負しています。
─ まさに縁の下の力持ちですね。これは真空機器メーカーと言ってもいいですか。
入江 そうです。真空領域におけるメーカーであり、研究開発の会社でもあります。もともと工研という社名にあるように…。