
EV販売台数は24万台と堅調
ホンダや日産自動車などに続き、トヨタ自動車も電気自動車(EV)の戦略を変更する。高級車ブランド「レクサス」のEVクーペ「LF-ZC」の開発を中止する。この車両は同社にとって次世代EV群の第1弾と位置づけていた。
「クルマ屋がつくる次世代BEV」(同社)として2年ほど前から開発を開始。車台などの全てを刷新し、車体をフロント、センター、リヤの3つに分割する新モジュール構造「ギガキャスト」を採用するなど、同社の新しいクルマづくりの思想を体現する車両だった。
それでも「各国・各地域のエネルギー事情に応じて最適なクルマを届ける」(同社幹部)という全方位スタンスから、昨今の米国におけるEV販売の減速や趣向性が高いクーペモデルの需要縮小を考慮して中止を決めた。
社長の近健太氏は5月の決算発表の場で「損益分岐台数に関しては、上昇傾向にまだ歯止めがかかっていない」と語った上で、生産車種の再編に関しては種類の見直しや削減にも言及していた。一方で日本国内での人手不足などから納期待ちが深刻になっているミニバンを台湾で生産して日本に供給するなどメリハリの利いた動きを見せる。
ただ、今回のトヨタのEV開発の中止はEVに経営資源を一気に集中させたホンダのように巨額の損失を計上したり、日産のように工場閉鎖といった対応を迫られることはなさそうだ。
関係者によれば「巨額の投資をして量産準備に入る前での計画の見直し」に近いからだ。トヨタがEVから撤退するわけではなく、ギガキャストや全固体電池を含む次世代電池などの技術開発は継続していく。
トヨタのEVは堅調だ。2025年度の販売台数は約24.3万台。26年は約59万台の販売を見込む。しかし、中国のBYDや中国メーカーと組んだオートバックスセブンが軽EVの投入を表明するなど、「どこからライバルが出てくるか分からない」(同)のがEVの世界だ。
売上高で50兆円を超える規模にまで成長したトヨタ。今後も市場の変化に対応できる柔軟性が求められることになる。