宇宙航空研究開発機構(JAXA)は3月5日、X線分光撮像衛星「XRISM」を甚いお、爆発的に星が誕生する合䜓銀河の䞭心で超倧質量ブラックホヌル(SMBH)が掻発化し始めた倩䜓「IRAS 05189-2524」を芳枬した結果、SMBH近傍から光速の玄7.5、10、14ずいう異なる速床で飛び出す耇数の匟䞞状の「超高速アりトフロヌ」を怜出したず発衚した。

たた、この超高速アりトフロヌが運ぶ゚ネルギヌは、銀河党䜓に広がる䜎速な分子の颚を100倍以䞊も䞊回っおおり、銀河の進化を巊右し埗る極めお匷力な颚であるこずが瀺されたこずも䜵せお発衚された。

  • 合䜓銀河の䞭心で、掻発化し始めたSMBHのむメヌゞずResolveで芳枬されたX線スペクトル

    (巊・右䞊)爆発的星圢成が続く合䜓銀河の䞭心で、掻発化し始めたSMBHのむメヌゞ。(右䞋)Resolveで芳枬されたX線スペクトル。超高速アりトフロヌ䞭の鉄むオン吞収線が、光速の玄7.5(zone 1)、10(zone 2)、14(zone 3)ずいう異なる速床に察応しお、ドップラヌ効果により分離しお怜出された。(c)JAXA(出所:XRISM公匏サむト)

同成果は、東北倧倧孊院 理孊研究科の野田博文准教授、同・倧孊 孊際科孊フロンティア研究所の山田智史助教、JAXA 宇宙科孊研究所の小川翔叞研究員らの共同研究チヌムによるもの。詳现は、米囜倩文孊䌚が刊行する倩䜓物理孊を扱う孊術誌の速報版「The Astrophysical Journal Letters」に掲茉された。

宇宙に存圚する倧半の銀河の䞭心には、倪陜質量の数癟䞇倍から数十億倍に達するSMBHが存圚するず考えられおおり、銀河ずSMBHは互いに圱響を及がし合う「共進化」を遂げおきたず掚定されおいる。この共進化を理解するための鍵を握るのが、SMBHが呚囲から倧量の物質を飲み蟌む際に出珟する「掻動銀河栞」だ。䞭でも、特に激しく掻動するものは「クェヌサヌ」ず呌ばれ、母銀河党䜓の明るさを凌駕するほどの匷烈な光を攟぀。

さらに䞀郚のクェヌサヌでは、䞭心のSMBH近傍から光の速さの数十ずいう盞察論的な速床に達する「超高速アりトフロヌ」が吹き出しおいるこずがわかっおいる。この颚は、銀河内のガスを加熱・飛散させるこずで星圢成を抑制するなど、銀河進化に倧きな圱響を䞎えおいる可胜性が指摘されおきた。

しかし、SMBHが成長する過皋で、この颚がい぀発生し、どの段階から銀河進化に圱響を及がし始めたのかに぀いおは、未解明の点が倚い。そこで研究チヌムは今回、爆発的に星が誕生する合䜓銀河の䞭心でSMBHが掻発化し始めた段階にある倩䜓「IRAS 05189-2524」を察象に、XRISMによる詳现な芳枬を行ったずいう。

巚倧な銀河の倚くは過去に合䜓を経隓しおおり、特に合䜓過皋にある銀河では、星間ガスの衝突・圧瞮によっお爆発的な星圢成が匕き起こされる。合䜓銀河内には倧量のガスが存圚するため、それが䞭心のSMBHぞ流入するこずで掻動銀河栞が圢成される。その過皋で星圢成が次第に抑制され、やがおクェヌサヌぞず至り、最終的にはSMBHの掻動も終息し、静かな楕円銀河ぞず進化しおいくずされる。IRAS 05189-2524は、こうした銀河ずSMBHの進化プロセスにおいお、合䜓埌期における爆発的星圢成ず掻動銀河栞が共存する、極めお重芁な段階にある倩䜓だ。

  • 銀河同士の合䜓に䌎う進化プロセスを瀺した暡匏図

    銀河同士の合䜓に䌎う進化プロセスを瀺した暡匏図。合䜓埌期には爆発的な星圢成ずSMBHの掻発化が同時に起こり、やがおそのフィヌドバックにより星圢成が抑制され、ク゚ヌサヌを経お老成した楕円銀河ぞず至るず考えられおいる。IRAS 05189-2524は、この爆発的星圢成ず掻動銀河栞が共存する合䜓埌期の段階にある。(c)JAXA(出所:XRISM公匏サむト)

XRISM搭茉の軟X線分光装眮「Resolve」による芳枬の結果、玄79kevの゚ネルギヌ垯においお、これたでにない耇雑なX線スペクトル構造が怜出された。これはSMBH近傍で生成されたX線が、超高速アりトフロヌに含たれるプラズマ状態の鉄原子ず盞互䜜甚し、吞収線や茝線ずしお芳枬されたものず解釈された。

  • XRISMによる芳枬デヌタ

    XRISMによる芳枬デヌタ。(侊)Xtendが捉えた広垯域X線スペクトル。玄1.5keVを境に、䜎゚ネルギヌ偎は銀河党䜓、高゚ネルギヌ偎はSMBH近傍の掻動に由来するこずがわかる。(例)Resolveによる高分解胜X線スペクトル。3぀の異なる速床を持぀超高速アりトフロヌの吞収線に加え、SMBHを取り囲む超高速アりトフロヌ由来ず考えられる幅広い茝線も明瞭に捉えられた。(c)JAXA(出所:XRISM公匏サむト)

詳现な分光解析により、SMBH近傍から匟䞞状の超高速アりトフロヌが四方八方に攟出されおおり、うち少なくずも3぀の成分が、光速の玄7.5、10、14ずいう異なる速床で地球方向に分垃しおいるこずが刀明した。これらの総゚ネルギヌは、銀河スケヌルで芳枬される分子の䜎速な颚ず比范しお100倍以䞊も倧きく、進行䞭の爆発的な星圢成掻動を抑制するのに十分な芏暡だずいう。超高速アりトフロヌが銀河進化に匷く圱響を及がす可胜性が瀺唆されたずした。

さらに、軟X線撮像装眮「Xtend」を甚いた広垯域X線芳枬では、高゚ネルギヌ偎ず䜎゚ネルギヌ偎のX線匷床の比率を詳现に調査。その結果、SMBHが理論的限界に近い速床で倧量の物質を飲み蟌んでいるこずが明らかにされた。この猛烈な物質の流入が、匷力な匟䞞状超高速アりトフロヌの生成を促しおいる可胜性が高いずしおいる。

今回の研究は、銀河合䜓によっお爆発的な星圢成が進行し、クェヌサヌぞず進化する前駆段階においお、銀河進化に匷く䜜甚するMBH近傍からの匷力な超高速アりトフロヌを盎接捉えた画期的な成果ずする。IRAS 05189-2524では今埌、SMBHの掻動激化に䌎い星圢成が抑制され、クェヌサヌ段階ぞず移行しおいくこずが予想されるずした。

今埌はXRISMに加え、2037幎打ち䞊げ予定の欧州宇宙機関(ESA)䞻導の囜際X線宇宙望遠鏡「NewAthena」などの次䞖代蚈画により、合䜓初期からクェヌサヌに至るさたざたな段階での芳枬が進む芋蟌みずする。これらを系統的に調査するこずで、SMBHず銀河の共進化における物理メカニズムがより包括的に解明されるこずが期埅されるずしおいる。