Zendeskはこのほど、国内の事業戦略とAI搭載製品の日本展開に関する記者発表会を開催した。クラウド型コールセンターシステム「Zendesk Contact Center」の一般提供開始、AIサービスプラットフォーム「Zendesk Resolution Platform」におけるAI関連の機能追加が発表された。

2ケタ成長を果たした日本市場

国内の事業戦略については、日本法人 代表執行役社長 森太郎氏が説明を行った。日本法人は二けた成長を果たしているほか、顧客数は3000を超え、パートナーも23社に達しているとして、同氏は国内のビジネスが好調であることをアピールした。

「米国以外に2つのデータセンターを持っているのは日本だけ。日本の顧客は3000社に上るが、より大きな規模の企業に使ってもらうよう取り組んでいる。AI活用、CX、EXの事例が増えているので、一緒に成長していきたい。また、日本はAPACの中でもパートナービジネスで成功している国であり、来年に向けてパートナーを増やし、ビジネスを伸ばしたい」

  • Zendesk 日本法人 代表執行役社長 森太郎氏

    Zendesk 日本法人 代表執行役社長 森太郎氏

また、森氏は「Zendesk Contact Center」の国内展開について、「今後二ケタくらいのプロジェクトを手掛けたい」と語っていた。

EggemeierCEO、「売上トップ5入りを日本に期待したい」

続いて、CEO(最高経営責任者)のTom Eggemeier氏がビジネスの最新動向について説明した。同氏は、日本法人の売上がグローバルで8番目であることを明かし、野球に例えて「もっと上に行くべき」と鼓舞した。

「大谷選手はMLBで目覚ましい活躍をしているが、日本はイノベーションを進めてきたので、AIにおいてもチャンスがある。ぜひとも、日本にはトップ5に入ってもらいたい」

  • Zendesk CEO(最高経営責任者) Tom Eggemeier氏

    Zendesk CEO(最高経営責任者) Tom Eggemeier氏

また、Eggemeier氏はAIについて「AIは進化しており、ハイプではない。マーケティング、コーディング、顧客・従業員のサービスという3つの業界を変革している。今年のAI分野の売上は2億ドルに達する」と語り、同社のAIによって、コンタクトセンターが5年のうちに自動化されると主張した。

さらに、Eggemeier氏は「Zendesk Resolution Platform」について、「今年3月に社員、顧客の問題を解決するプラットフォームをリリースした。この製品は問題を解決して初めて料金を支払うものだが、日本にとって特に重要となる。いつも日本はサービスカルチャーが強いことに驚く。日本は労働人口が減少しているが、Zendesk Resolution Platformを活用してサービスカルチャーを維持してもらいたい」と語った。

Zendesk Contact Centerの特長

「Zendesk Contact Center」はLocal Measureの買収による技術を基にAmazon Connectと連携して開発された。今回、日本市場に合わせたローカライズを経て、一般提供が開始された。同製品はZendesk Resolution Platformの一部として、カスタマーサービスを提供できる。

同製品の特長の一つは、AIが対応を行い、人の担当者がその運用を監督する仕組み。AIで解決できない場合は、スムーズに人へ引き継がれる。また、コンタクトセンター全体を俯瞰できるコマンドセンターがリアルタイムで状況を把握する。

新機能であるビデオ通話と画面共有により、担当者は顧客と同じ画面を見ながら対応することが可能になった。また、Zendesk Contact Centerに組み込まれた完全自律型のAIエージェント「Voice AIエージェント」は、エージェンティックAIを活用し、自然な会話を理解して自ら行動し、人へのエスカレーションを行わずに課題を解決する。

加えて、会社支給のハードウェアを一元的に把握できる機能として「Zendesk ITアセットマネジメント」と「Microsoft Copilotインテグレーション」が追加された。

  • 「Zendesk Contact Center」の概要

    「Zendesk Contact Center」の概要

Zendesk Resolution Platformの新機能

Zendesk Resolution Platformは、年間約50億件に上る問い合わせ解決を担うAIエージェントを支えている。AIエージェントは、GPT-5のような大規模言語モデルやModel Context Protocol(MCP)のようなデータへのアクセスを活用し、ワークフローを効率化する。

今回、AIと自動化を強化する以下の機能が追加された。

  • アクションビルダー:ワークフローや自動化を簡単に作成できるローコード/ノーコードツールで、OpenAI、Shopify、Confluenceに加え、Microsoft Excel、Teams、Outlookとも連携予定
  • アプリビルダー:担当者がコードを書かずにカスタムアプリを作成し導入できる機能
  • ナレッジコネクタ:Confluence、Google Drive、SharePointなどの外部ナレッジソースとデータ移行なしで連携し、AIエージェントと人の担当者の双方を支援する
  • ナレッジビルダー:過去のチケットや業務データをもとにAIがナレッジベースを自動で生成、整理し、不足しているコンテンツを補う
  • HyperArcが支える高度なインサイト:AIと人の分析を掛け合わせて、傾向や原因を読み解くインサイトを導き出す
  • 「Zendesk Resolution Platform」の新機能

    「Zendesk Resolution Platform」の新機能