Windows Centralは9月19日(現地時間)、「Windows 11 on Arm app compatibility is no longer a concern」において、ARM版Windows 11は現在盛んに利用されているというMicrosoftの発表について伝えた。

ARMベースのWindows PCを利用するユーザーは、ネイティブコンパイルされたアプリを用いる時間が全体の約90%に達しており、これは数年前と比較すると大きな進歩だという。

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ARM版PCのネイティブアプリの使用比率は90%に達した

ARM版Windows 11は、ARMアーキテクチャーのプロセッサで動作するように設計されたWindows 11である。x86およびx64向けも含めてほとんどのWindowsアプリがそのまま動作するものの、一部の互換性がないアプリは、そのままでは動作しなかったり、パフォーマンスが低下する場合がある。

もともとは省電力モバイルPCやタブレットを主なターゲットとして開発されたが、2025年5月のCopilot+ PCの発表により状況は変化した。Copilot+ PCが最初にサポートしたのはQualcommのARM CPUであるSnapdragon Xシリーズであり、このリリースからMicrosoftは、ARM版Windowsの大幅な改修に本腰を入れるようになった。

前述のように、Microsoftが報告したデータでは、現在ARMプロセッサ搭載のWindows 11 PCユーザーがネイティブコンパイルされたアプリを使っている時間は、全体の約90%に達している。これは、ARM版における互換性の問題が大きく改善されたことを示している。

開発者側でも対応が進んでおり、小規模なアプリから大規模なアプリまで、さまざまなカテゴリーでネイティブ版が登場している。互換性問題の影響を強く受けていたAdobeのPhotoshop、Premiere Pro、Audacityなども、試験段階ながらネイティブ版の開発が進んでいる。

ネイティブ対応によって、レスポンスや電力効率など、ユーザー体験が大きく改善されたことも取り上げられている。エミュレーションを使うケースでも、最新のSnapdragon Xシリーズや、PRISMエンジンをはじめとするWindows 11のエミュレーション層の進化によって、多くのx86アプリが滑らかに作動しているとのことだ。

特定の分野では互換性の問題も残る

そうは言っても、互換性の問題が完全に解消されたわけではない。とくにゲーム分野では、ネイティブ対応していないタイトルが多く残っていたり、アンチチート機構がエミュレーション環境下で適切に動作しなかったりといった問題がある。そういったアプリでは、依然として動作の不具合やUI/UXの違和感が多数報告されている。

Microsoftは、将来のSnapdragonチップの投入によって、ARM版Windows PCの性能と効率がさらに向上すると見込んでいる。エコシステム全体の成熟度が上がったことにより、新しいハードウェアとソフトウェアの組み合わせで、ネイティブアプリの比率がさらに高まる可能性は高い。結果として、利用者がARMベースのPCを選ぶ際の選択肢はますます広がっていくと言えるだろう。