【株価はどう動く?】 インフレは日米株価にプラス、日本再評価の「ラブジャパン相場」始まる

 「新高値」後の相場展開は?

 相場の先行きを見る時に大事なのはファンダメンタルズだけでなく、相場の「波動」だと何度も説明してきました。この視点がなければ現状分析はできても、未来予測はできません。

 2024年7月11日、日経平均は4万2224円で二番天井を付けました。価格の波動では、二番天井を付けてから本格的な調整局面に入りますが、二番天井の後、8月5日には日銀の利上げもあって4400円下げて、3万1156円という安値で一番底を付けました。

 その後、3万5000円から4万円のゾーンで約1年揉み合ってきました。これは長期の12ないし13カ月の日柄通りで、25年8月12日、日経平均は4万2718円という新高値を付けました。新高値は新たな上昇相場の始まり、予兆です。

 私は年内にも4万円から4万5000円のゾーンに入ると見ていましたが、それは25年4月7日にトランプ関税ショックの3万792円という安値で綺麗な二番底を形成したからです。

 二番底が入ったら、いい材料がなくても日柄十分になれば上昇するというのが波動です。新しい上昇相場の中でこの後、急落局面があったら、絶好の押し目買いチャンスです。

 おそらく、この後、年末に向けて、「押し目待ちに押し目なし」、つまりそれほど大きな下げがなく、上がっていく展開になる可能性があります。新しい上昇波動が始まったことと、日本株に不安材料がないことです。企業業績の見通しがあまりよくないという材料はありますが、これも個別業種によって見方は分かれます。

 政局不安もありますが、石破首相が退陣すれば株式市場は歓迎ムードになるでしょう。このように、日本国内には大きな売り材料は見当たりません。

 一方、企業はあり余る程の資金を持っており、今後多くの上場企業が自社株買いを行う可能性が高まっています。なぜなら、大企業の多くがPBR(株価純資産倍率)1倍割れだからです。

 ただ、多くの金融関係者は、日本株の弱気材料として「トランプリスク」を懸念しています。私の見方は逆で「トランプチャンス」だと考えています。米トランプ政権の政策は日本にプラスです。関税リスクが言われますが、多くの人が目の前の情報だけで判断しています。

 今、日本経済は30数年ぶりにデフレを脱却しつつありますが、トランプ政権のインフレ政策も影響しています。相互関税、不法移民の追放、大幅減税、軍事大国化はインフレ要因です。

 インフレが行き過ぎるとバブルなど弊害も出るので、ベッセント財務長官を始め、マーケットや経済に精通した人たちがある程度制御していくというのがトランプ政権の姿です。

 今後も資産インフレは拡大し、以前も指摘しましたが、資産を持てる者、持たざる者の格差は拡大すると予想しています。

 日経平均は4万円から4万5000円というゾーンで動いていますが、今後は4万5000円から5万円のゾーンへと移行する流れの中にあります。こうなると前人未到の大相場の始まりで、28年頃には日経平均8万円もあり得ると予想しています。

 戦後、大相場は6回ありましたが、4回は出発点から5倍以上になっており、数年間上げています。例えばバブルの大相場では1982年の大底6849円から89年まで7年上げ、年末に3万8915円を付けたわけです。出発点から5・6倍です。

 戦後6回目の大相場だったアベノミクス相場が18年10月に天井を付けて、その後底入れしたのが、20年3月のコロナショックの安値、1万6000円台でした。今回の大相場の出発点ですが、ここから5倍だと8万円の可能性が見えてきます。

 その第1段階として、日経平均は4万5000円から5万円のゾーンに入っていくというのが、波動から見た読みです。

 今、ロシア・ウクライナ戦争や、イスラエル・ガザ紛争など地政学リスクが高い状態が続きますが、世界のマネーはリスクオフではなくリスクオンになっています。それは前述のようにトランプ政権の政策もあって世界的にインフレが進み、通貨の価値が下がっているからです。

 様々な資産に資金が流入し、米国株も、日本株も上がっているのです。世界のリスクマネーが米国、日本に向かっています。暗号資産、ビットコイン、イーサリアムも新高値です。

 米国株は今後も上昇すると思いますが、ニューヨークダウ、ナスダック、S&P500,いずれも歴史的高値圏にあります。それに対して日本はようやく新高値を付けたところで、今後も上昇余地が大きいのです。

 今、「日本再評価相場」が始まっています。日本には世界に冠たる技術を持った製造業が残っていることも大きいのです。

 そしてもう1つ、月刊文藝春秋2025年9月号に掲載されたノーベル文学賞作家・カズオ・イシグロ氏のインタビューでわかるように「カルチャー」が注目されています。カズオ・イシグロ氏は「世界における日本の文化的地位は完全に変わりました。誰もが日本を愛していますよ」と言及しています。

 かつて日本の証券会社は海外から日本への投資に向け「バイジャパン」をアピールしましたが、今や日本はカルチャー大国の魅力があります。今後は「ラブジャパン」、〝愛するニッポン〟を織り込む日本再評価相場となるでしょう。