百貨店の役割とは何ですか? 日本百貨店協会・好本達也会長を直撃

最も深刻な問題は少子高齢化

 ─ 今回の参議院選挙では、与党の自民党と公明党が議席を減らし、野党の国民民主党と参政党が議席を増やしたわけですが、好本さんは政治が経済に与える影響をどのように受け止めていますか。

 好本 与野党の主張を聞いていると、皆さん、全体最適を考えて発言をするのではなく、それぞれが関心の高い課題だけを取り上げて、自分たちの主張にあわない政党を批判すると。

経団連会長・筒井義信「業界の垣根を越え、社会全体を俯瞰して、リードするために産業界の総意を結集していく」

 要するに、日本の将来像をどうするかという視点を誰も示さないまま、自分たちの主張ばかりを繰り返している。そこが寂しいと思いましたし、もっと皆さん、全体最適を考えて発言しないといけないのではないかと思います。

 やはり、まずは軸となる日本の将来像、全体像があって、ここは譲るけれども、ここはこうやっていこうというような形で与野党が議論を進めていかないといけないのに、肝心な将来像を誰も示していないから、お互いを罵りあうだけの選挙になってしまっている。そこが少し残念に思います。

 ─ 本当ですね。自分たちの主張に固執して、日本の国家像、将来像を示している政策論争はありませんでした。

 好本 もちろん、足元の物価高対策も大事ですし、社会保障改革も大事だと思いますが、わたしは日本で最も深刻な問題は少子高齢化による人口減少だと思っています。

 実はこの人口減少というのは、東京にいるとあまり実感しません。しかし、地方へ行ったら本当に人がいないなと思いますし、外国人の受け入れについてもっと真剣に考えないと、地方の都市はもうもたないです。

 今回の選挙では、外国人政策への批判や、インバウンド(訪日外国人観光客)に迷惑しているという意見もありましたが、旅行ではなく、すでにそこに定住し、生活をしている外国人の方がいるわけです。だから、こうした外国人の方々といかに共生していくかを考えなければならないのに、外国人は入ってくるなというのは違いますよね。

 やはり、人口減少を支える一つとして、生活者としての外国人という視点をもっと直視しなければならないと思いますし、地方の労働力はもう外国人がいなかったら成り立ちません。

 ─ では、この人口減少ですね。解決に向けては、どこから手をつけて行けばいいと考えますか。

 好本 わたしに大した知恵があるわけではありませんが、東京一極集中については、真剣な議論を始めるべきです。例えば、「地方分権」や「道州制の導入」は一つの考え方だと思います。過去には道州制の議論が活発に行われた時期が何度もありました。それなのに、これだけ人口減少が加速している今、誰も道州制の話をしないというのは不思議に思います。

 例えば、わたしも昨年、日本百貨店協会の会長になってから、これまで29都市38店舗を視察しました。地方へ行くと本当に人口減少は深刻です。特に東北や四国、山陰は人口減少が進んでいて、放っておけば、ますます人口が減っていくわけです。

 限界集落という言葉がありますけど、これからは限界県が出てきます。そうなったらどうなるのか? 市町村であれば合併できますが、県の合併は例がありません。

 ─ なるほど。現実問題として県は合併できないと。

 好本 ええ。でも、道州制の話がもっと進んでいれば、いろいろ考えることができると思います。やはり、中央官庁が全て東京にあって、全国に都道府県があり、市町村があって、皆、画一的な地方行政をこれからも行っていたのでは、日本はもたないと思います。

 例えば、文化庁だけは京都に移転しましたけど、わたしは霞が関の他の機能をもっと地方に分散していくのも一つの手だと思います。やはり、東京の一極集中というのは大きなリスクだと思いますので、道州制を含めて、地方をいかに活性化するかを、もっと真剣に議論しなければならないと思っています。

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