USEN&U-NEXT GROUPのグループ会社で、USENからフィールドエンジニア部門が独立したUSEN FIELDING。同社はこのほど、フィールドエンジニア社員の施工技術や接客スキルを競う技術技能大会「USEN FIELDING GRAND PRIX-2025-」を幕張メッセ 国際展示場で開催した。

  • 協議中の参加者

    競技中の参加者

「USEN FIELDING GRAND PRIX-2025-」大会概要

「USEN FIELDING GRAND PRIX」は2016年に、USENのフィールドエンジニア社員を対象とした技術技能大会である「USEN ENGINEER COMPETITION」として始まった。2024年7月のフィールドエンジニア部門の分離独立によるUSEN FIELDING設立に伴い、同社主催の「USEN FIELDING GRAND PRIX」としては今回が初開催となる。

今大会は「Starting New Chapter -新たな章の始まり-」をテーマに、全国7地区の予選を勝ち抜いたフィールドエンジニアが決勝大会に出場した。

  • 大会会場の様子

    大会会場の様子

本稿では、「USEN MUSIC Entertainment」と「USENレジ」の施工精度や設定項目の正確性を競う2人1組のチーム戦「USEN商材部門」と、飲食店向けの配膳・運搬ロボット「KettyBot」のルート設定や提案内容を競う個人戦「ロボティクス部門」の様子をレポートする。

USEN FIELDING代表取締役社長の寺見俊吾氏は「過去10回以上の大会を通じて、この大会での勝利が社内でも大きなステータスになりつつある。大会で優秀な成績を残した社員はその後のキャリアで重要なポジションに就くなど、人生が変わる場でもある」と述べた。

また、同氏は「本大会はあくまで模擬競技。本業は各地のお客様に当社のサービスを提供することなので、大会出場の経験を生かしながら日々の現場業務でも実力を発揮してほしい」とも話していた。

  • USEN FIELDING 代表取締役社長 寺見俊吾氏

    USEN FIELDING 代表取締役社長 寺見俊吾氏

USEN商材部門は高難易度な施工に2人1組で挑戦

USEN商材部門は、ニュースやスポーツなど地上波放送が見られるテレビにUSENのBGMプレイヤーを内蔵した「USEN MUSIC Entertainment」とスピーカー、飲食店向けPOSレジ「USENレジ」を120分以内に取り付けることに挑んだ。

「USEN MUSIC Entertainment」とスピーカーは天井吊り下げの新設工事であるため、非常に難易度が高い。光オーディオケーブルやLANを接続し、音出し確認まで時間内に進める。各チームには顧客に見立てた審査員が付き、施工の速さだけでなく、接客対応や顧客の要望に沿った施工が審査される。社内のレギュレーションに準ずる工事内容で、正しい固定方法(落下防止処理)や接続方法であるかなどが確認されるという。

また、「USENレジ」はPCの設置やプリンタのIP設定が社内の規定通りに実施されているかを確認される。店員が使うハンディ端末用のアクセスポイントは、店舗状況を考慮して電波状況の良い天井面での設置ができているかなども審査対象となる。なお、すべての作業において店舗の美観を考慮した設置が求められる。

USEN商材部門には、地方予選を勝ち抜いた7チーム14人が参加。日々の業務で培った連携や接客対応を披露した。

  • USEN商材部門競技中の様子

    USEN商材部門競技中の様子

見事に優勝したのは、中部地区代表の稲垣もも子氏と林央太郎氏のペア。今大会USEN商材部門で唯一の女性出場者であり、過去の大会を通して初めて女性エンジニアが優勝を勝ち取った。

稲垣氏・林氏のチームからは「優勝決定時は信じられませんでしたが、事前の打ち合わせがしっかりできたため日頃からのチームワークで優勝できました」「女性エンジニアの優勝はUSEN開催時期を含めて初なので、後輩の女性エンジニアに良い影響を与えたいです」と、喜びのコメントが届いた。

  • 稲垣もも子氏・林央太郎氏ペア

    稲垣もも子氏・林央太郎氏ペア

大会運営を担当するUSEN FIELDINGの瀧航氏は同チームの評価ポイントについて、「制限時間内にしっかりと完成し、お客様要望によるモニター取り付け位置にも正確に対応できていた点、そして機器類を設置した際の美観など総合的に高得点となりました」と述べていた。

  • USEN FIELDING フィールド統括本部 エンジニアオペレーション部長 瀧航氏

    USEN FIELDING フィールド統括本部 エンジニアオペレーション部長 瀧航氏

ロボティクス部門は配膳ロボットの正確なルート設定を時間内に実施

今大会から新設されたロボティクス部門では、昨今飲食店で目にする機会が増えた配膳ロボット「KettyBot」の設定を行った。5メートル×10メートルの飲食店を模したフィールドで、「KettyBot」2台のマッピングから取り扱い説明までを実施する。USEN商材部門と同様に、顧客に見立てた審査員への接客や取り扱い説明の内容が審査される。

店内に設置したテーブルや椅子との間隔を調整しながら、2台のロボットがぶつからないようにルートを設定する必要があるため、こちらも難易度の高い作業だ。看板など店内の障害物を正確に把握し、テーブルまでスムーズロボットが移動するよう設定する。また、店内には一方通行やすれ違いの場所が指定されており、多様な状況でも適切にロボットを運用する能力が試される。ロボティクス部門には7地域の代表者7人が出場した。

  • ロボティクス部門競技中の様子

    ロボティクス部門競技中の様子

ロボティクス部門で優勝したのは、中部地区代表の加藤大喜氏。「設置時にお客様への説明を意識したことが、優勝につながりました。競技中は緊張したのですが、始まってからはいつも通り作業できました。今後は(社内認定資格の)EXPERTとして、ロボットの設定は難しくないということを発信していきたいです」と優勝のコメントを述べた。

  • 中部地区代表 加藤大喜氏

    中部地区代表 加藤大喜氏

USEN FIELDINGでは今回のような技術大会で上位入賞を果たすなど、社内で顕著な成績を残した社員を「EXPERT」として認定している。イベント取材時点では、同社フィールドエンジニアのうち約10%がEXPERTの認定を受けているそうだ。

瀧氏は加藤氏の優勝に対し「お客様との設置前説明のコミュニケーションや、丁寧な取り扱い説明などアフターフォローの面で高得点を獲得。新設部門として第一回の栄えある優勝となりました」と評価していた。

また、瀧氏は審査の観点を含めた大会全体の総評として、以下のコメントを小誌へ寄せた。

「USEN FIELDINGとして初めての開催となりました『USEN FIELDING GRAND PRIX-2025-』へのご参加誠にありがとうございました。速報値となりますが、150社以上300名を超えるお取引企業様など多数のご来場をいただき、盛況のうちに終了しました」

「USEN商材部門およびロボティクス部門では、新規お客様店舗の想定でUSEN&U-NEXT GROUPのUSEN社が提供するサービスを設置・設定する施工精度と出来栄えを競い合いました。参加選手においても、観客の前で施工を行うという普段とは異なる状況の中、地区の代表として高いスキルを存分に発揮していたと感じています。次回開催への課題などありつつも、設立1年目の会社として成功と言える大会運営を行えたと感じています。規模、エリアなど拡大しながら本大会のようなイベントを続けていきたいと思います」