Microsoftはこのたび、Windows 11への移行を促す新たな文書として「What is Trusted Platform Module in Windows 11? | Microsoft Windows」を公開した。この文書では、Windows 11の必須要件の一つとなっているトラステッドプラットフォームモジュール(TPM: Trusted Platform Module)について、その重要性とメリットを取り上げている。
これを受け、Windows Latestは4月21日、「Microsoft justifies TPM requirement for Windows 11 ahead of Windows 10 EOL」において、この要件が原因で多くのユーザーの信頼を失うことになると指摘した。
TPMとは何か、なぜ重要なのか?
Microsoftは公開した文書の中でWindows 11のTPMとは何か?との質問に次のように回答している。
「トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)は、コンピュータのハードウェアに組み込まれた特殊なチップです。信頼できるソフトウェアだけをコンピュータ上で実行するようにすることで、機密データを保護するように設計しています。また、重要な情報を不正アクセスから守ります」
そして、Windows 11がTPMを重要視している理由として、次の4つの項目を挙げている。
- データ保護:TPMがデータを暗号化することで、ハッカーによる機密情報へのアクセスを困難にする。個人情報、金融データ、機密ファイルを扱う場合に特に重要
- 信頼できるソフトウェアを保証:TPMはシステムソフトウェアとファームウェアの整合性を検証する。「セキュアブート」と呼ばれるこの機能は、(デバイスの)起動時に悪意のあるソフトウェアの起動を防止する
- 物理的な改ざんの防止:何者かがデバイスのハードウェアを物理的に改ざんしようとしても、TPMがこれを検出し、システムの起動を防止して攻撃からデバイスを保護する
- 高度なセキュリティ機能のサポート:Windows 11の強力なセキュリティ機能の多くはTPMに依存している。これらツールはデバイスの紛失および盗難時にデータを保護する
ユーザーエクスペリエンスは向上するのか?
Windows LatestはMicrosoftの挙げた前述のセキュリティ面の重要性については同意している。しかしながら、Windows 11にアップグレードすることで得られるTPMのメリットとして、ユーザーエクスペリエンスの向上を挙げている点については納得できないと指摘している。
「ユーザーエクスペリエンスの向上という点には納得できませんでした。アニメーションや色使いがクールだと賛同する人もいるかもしれませんが、誰もがそれを望んでいるわけではありません。開発者向けの実験場のようなOSよりも、信頼性の高いOSを選ぶのは間違いありません」
TPMのバージョンの扱いも問題
このほか、TPMの2つのバージョン(1.2および2.0)の扱いの違いにも問題があると指摘されている。TPM 1.2を搭載したデバイスの場合、たとえ強力なCPUとGPUを搭載していたとしても、原則としてWindows 11にアップグレードすることはできない。