公正取引委員会は4月15日、米Googleに対して独占禁止法の規定に基づく排除措置命令を出した。Googleが端末メーカーや通信事業者などの取引先企業に対して対して自社のアプリの搭載などを強制する契約を行っており、それが独占禁止法第19条の規定に違反するという。

公取委は同社に対して、違反行為の取りやめと、その履行状況の5年間の監視を受け入れるように求めている。

  • (令和7年4月15日)Google LLCに対する排除措置命令について|公正取引委員会

    (令和7年4月15日)Google LLCに対する排除措置命令について|公正取引委員会

2件の契約条件が「拘束条件付取引」に当たると判断

公取委は今回、Googleが取引先企業に対して課している次の2つの制約を不法行為として認定した。

  • Android端末にGoogle Playをプリインストールする場合、検索アプリとして「Google Search」をプリインストールし、そのウィジェットおよびアイコンを初期ホーム画面に配置しなければならない
  • Android端末にGoogle Chromeをプリインストールする場合、Googleの検索広告で得られた収益の一部を共有できるが、そのためにはGoogleの検索サービスを競合する検索サービスよりも優遇する各種処置を行わなければならない

上記の内容は、取引先企業の事業活動を不当に拘束するものだとして、独占禁止法第19条で禁止されている拘束条件付取引に当たると認定された。同社は、遅くとも2020年7月以降、少なくともスマートフォンメーカー6社およびおよび移動通信事業者1社とこのような契約を行っていたと見られている。

  • 独禁法違反に認定された内容 出典:公正取引委員会

    独禁法違反に認定された内容 出典:公正取引委員会

Googleは、違反と認定された行為の取りやめと、取引先企業への通知、独占禁止法の遵守についての行動指針の作成と社員への周知徹底などが求められる。さらに、それらのの処置の履行状況について、5年間にわたって毎年公取委に報告しなければならない。

一方Googleは、4月15日に公式ブログを通じて公取委の決定に対する遺憾の意を表明した。同社は、これらの取引は強制されたものではなく、日本のスマートフォンメーカーや通信事業者が自ら選択して行っているものと主張。その上で、「今回の排除措置命令を慎重に検討し、Android が日本の消費者、スマートフォンメーカーおよび通信事業者にとって競争力のある選択肢であり続けられるよう、公正取引委員会と協力して取り組んでまいります」とコメントしている。