マウスはディスプレイ上のカーソルを操作するためのデバイスだ。高品質なマウスを使うことで、より快適な操作感を得られ、作業効率を向上させることができる。
選び方のポイントには用途に合ったボタン数やエルゴノミクス設計の有無などがあり、自身の使用感やフィーリングを重視して選ぶことが大切だ。さらに、専用のカスタマイズアプリケーションを活用し、ホイールやサイドボタンの設定を行うことで、個々の作業効率をさらに高められる。
マウスとは
PCにおいてディスプレイ上のカーソルを動作するデバイスが「マウス」だ。形状は石鹸に似ている。机の上に石鹸を置いて手のひらで上から覆いながら、石鹸を動かすようなイメージで操作する。動きに合わせてディスプレイ上のカーソルを移動させる装置だ。
マウスは手で覆った際に自然に人差し指と中指または薬指が乗る部分にボタンが配置されており、押せるように設計されている。2つのボタンの間にはホイールと呼ばれる回転するタイヤのようなものが設置されている。人差し指で左ボタン、中指でホイール、薬指で右ボタンを操作する仕組みだ。
タッチパッドとは
ノートPCにはマウスと同様の目的を果たすために「タッチパッド」が搭載されている。長方形の平坦なタッチセンサーを指でなぞるとディスプレイ上のカーソルが移動する。ホイールがない代わりに、2本指の操作で同じようなことができるほか、複数の指の動きでさまざまな操作を行える。携帯性と使い勝手を兼ねたデバイスだ。
タッチパッドとマウスはどちらも同じ目的を持つポインティングデバイスだが、操作方法や使用シーンが大きく異なる。タッチパッドは携帯性を重視し、移動中やコンパクトな作業スペースでの使用に適している一方、マウスは長時間の操作や精密な動作に向いている。タッチパッドとマウスはお互いに補完的な関係にある。
なお、AppleのMacBookではタッチパッドではなく「トラックパッド」という言葉が使われている。
高級マウスを使ってみよう
ノートPCを使用する際にタッチパッドで十分と感じている方や、デスクトップPCに付属していたマウスをそのまま使っている方に、少し高級なマウスを試してみることを提案したい。
一般的なマウスで満足できていたとしても、高品質なマウスを使うことで、操作性が向上し、長時間の作業でも疲れにくくなる。快適な使用感により、作業の生産性を高め、PC作業をより効率的でストレスフリーなものに変えてくれる。高級で高品質のマウスは単なる入力デバイスを超え、作業効率を高め、PC作業全体を新しいレベルへと引き上げてくれる。その特徴は以下の通りだ。
物理的特徴
手の形にフィットするように設計されており、通常のマウスでは得られない快適な使用感を提供する。精度の高いセンサーはデザインや写真編集といった細かな操作が必要な作業においても効果を発揮し、滑らかなカーソル操作が可能。Bluetoothや専用の無線レシーバーを使った安定した通信が可能で、遅延の少ない操作感を提供する。長時間の作業でも手に負担がかかりにくく、より快適に作業を続けられる。
ソフトウェア的特徴
カスタマイズ可能なボタンが多数搭載されており、ショートカットや操作の効率化が図れる。ブラウジング時の「戻る」や「進む」をボタン一つで行えたり、特定のアプリケーションでよく使う操作を割り当てたりすることで、毎日の作業をよりスムーズに行うことができる。これにより、単純な操作が簡略化され、ストレスを軽減でき、作業効率を大幅に向上できる
日々の作業を少しでも快適にしたい、あるいは新しいデジタル体験を求めている方にこそ、一度高品質マウスを手に取って試してもらいたい。本稿ではどのような設定やカスタマイズができるか取り上げるので、参考にしていただければ嬉しく思う。
高品質マウスの選び方
高品質マウスといってもさまざまな種類がある。用途に合ったものを選ぶのが大前提だ。ここでは代表的なモデルを取り上げるので、選ぶ際の参考にしてもらえればと思う。
価格と性能のバランスがとれた「5ボタンホイールマウス」
多くのビジネスマンに対して十分な機能を提供できるモデルが5ボタンホイールマウスだ。左ボタン、ホイール、右ボタンの基本となる3つのボタンに加えて、親指のところに2つのボタンがある。ホイールは回転するがボタンとして押すこともできるのでボタンとしてカウントする。これで5ボタンだ。
マウスの左ボタンと右ボタンは基本的な機能としてオペレーティングシステムもその存在を前提として設計されている。親指の2つのボタンはそれ以外の機能に割り当てる。この部分のカスタマイズが操作効率を一段階引き上げてくれる。
さらなる効率を求める「7ボタン ダブルホイールマウス」
マウスには明確な種類名というものがないので、便宜的にここでは「7ボタン ダブルホイールマウス」と表現する。先ほど取り上げた5ボタンホイールマウスに、いくつかボタンが追加され、さらにもう一つホイールがあるマウスと考えてもらえればと思う。
まずポイントはホイールが2つあることだ。上下のホイールと左右のホイールがある。この2つのホイールが直感的な操作を可能にしてくれる。そして5個を超える数のボタンだ。ボタンにはさまざまな機能を付与できる。こうした物理的な特徴は作業効率をアップしてくれる。
エルゴノミクスマウスはどう?
高品質マウスは多かれ少なかれ「エルゴノミクス」という概念を取り込んでいる。マウスにおけるエルゴノミクスは、マウスを使うことで発生する手首や腕の負担を軽減するような形状という意味で使われていることが多い。
エルゴノミクスマウスは、長時間の使用でも手首や腕の負担を軽減するために設計されている。そのため、腱鞘炎や手首の痛みに悩んでいる方に最適な選択肢だ。快適な操作感と負担の軽減により、作業の集中力を持続させることができる。ボタン構成としては「5ボタンホイールマウス」が多いように思う。
ただし、エルゴノミクスは石鹸のような形の一般的なマウスと比べると独特の形状を持っており、慣れるまでに時間がかかる。また、通常のマウスよりも高価なことが多く、人によってはそのデザインが手のサイズに合わず、独特な形状が逆に使いにくいと感じるユーザーもいる。
使ってみて効果を感じるなら、エルゴノミクスに振り切ったマウスを選択するのはありだ。どうやっても慣れないとか使いにくいときは、人気の高い他のモデルを選択しよう。
トラックボールマウスはどう?
マウスを動かすのではなく、マウスに取り付けられたボールを動かすことでカーソルを動かすモデルに「トラックボールマウス」がある。マウスを動かす必要がないため、デスクにマウスを動かすスペースがなくても使え、長時間の使用でも負担が少なく、精度の高い操作も可能という特徴がある。
しかし、トラックボールマウスもエルゴノミクスに振り切ったマウスと同様にメインストリームにはなっていない。トラックボールマウスはボールを回すことでカーソルを操作するため独自の慣れが必要だ。持ち運びには不向きで、価格が高めのモデルが多い。こうした理由から直感的に扱いやすい一般的な形状のマウスのシェアが多い。
トラックボールマウスは慣れてしまえば省スペースで快適に操作できるという大きなメリットがあり、デスクにスペースがない場合や長時間の使用で手の負担を軽減したい場合は、効果的だ。特定の用途で力を発揮することから熱心なユーザーがいる種類であり、試しに使ってみて慣れそうならトラックボールマウスを使うのはロジカルな選択だ。
ゲーミングマウスはどう?
性能や機能の多さではゲーミングマウスが最も優れている。その名のとおり、ゲームをプレイすることを目的に設計されたマウスだ。高いDPIや感度調整機能を備え、場合によってはプログラム可能な多くのボタンがあり、操作中にカーソルスピードを細かく調整することができ、さまざまなシーンで正確な動作を実現する。
マウスを極めるならゲーミングマウスから選ぶのは悪くない。ただし、ビジネス用途では多くのケースでゲーミングマウスの性能はオーバースペックであり、性能を持て余すように思う。ひたすらマウスの設定と効率向上に取り組むなら挑戦しがいのあるマウスだ。